出版社内容情報
経済的な意味での「貧困」が人びとの「生きる営みの総体」つまり文化にどのように関わっているのか.国民国家の周縁をなすマイノリティのエスニック・アイデンティティを精密なフィールドワークから描き出し,既存の開発経済学の枠組みでは捉えきれない「貧困」を生きる人びとの「生活の質」を包括的に把握する.
目次
第1部 現代サマの「貧困」:二重に周縁化された人びと(誰が誰を「バジャウ」とよんできたのか―他民族との関係、国家との関係について;貧困層としてのバジャウ―ダバオ市のサマ1;豊かなサマ、貧しいサマ―ダバオ市のサマ2)
第2部 「貧困」を生きる:バジャウとして、サマとして(サマがバジャウを名乗るとき;グワポの家族―商売と信仰と教育;ビライアの家族―古着を売る母と娘たちの祈り;パパ・メルシートの家族―窮乏化と揺れる祖霊信仰 ほか)