イスラーム地域の民衆運動と民主化

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  • サイズ A5判/ページ数 310p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784130341837
  • NDC分類 226
  • Cコード C3330

出版社内容情報

「9・11」事件以降,西欧世界を中心とした「民主主義」陣営対「イスラーム」陣営(独裁体制)という二項対立の思考が広がりつつある.時代間・地域間の実証的比較研究によって「イスラームか,民主主義か」という二者択一論を越えた社会像をしめす.

内容説明

「イスラームか、民主主義か」この二者択一論を超えて。伝統と現代、地域の分析軸に民衆運動というファクターを導入して9・11事件以後の世界が抱える諸問題を解きほぐす。

目次

イスラーム世界の民衆運動と民主化
I 伝統的社会における自由と民衆(イスラーム思想における自由―聖典解釈の正統性とその基準;裏切るクーファ市民―ウマイヤ朝末期ザイドの反乱にみる民衆の政治意識の結末)
2 過渡期における民衆運動と民主化(民主主義の受容と混乱―エジプト1923年憲法;南部フィリピン・ムスリム社会の山賊と民衆―「恐るべきラナオの王」の反乱;アラブ共産主義者の受難;中東における非宗派主義と政教分離主義の展開)
3 民衆運動と民主化のジレンマ(マレーシアの政治体制と二つの民衆運動;インドネシアの地域騒乱―宗教・民衆紛争なのか;中央アジアの体制転換と社会的緊張;ブルハーミー教団と現代エジプトのイスラーム復興;トルコの民主化・宗教自由化とイスラーム運動の発展)

著者等紹介

私市正年[キサイチマサトシ]
1948年生。上智大学外国語学部アジア文化研究所教授。中央大学大学院東洋史専攻博士課程修了(イスラーム民衆史、マグリブ・アラブ地域研究)

栗田禎子[クリタヨシコ]
1960年生。千葉大学文学部史学科助教授。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了/学術博士(スーダン・エジプトの近現代史)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ドウ

1
題名からすれば全ての論文にイスラーム、民衆運動、民主化の3要素が入っているべきと思うのだが、これを全て満たしているのは栗田の戦間期エジプトの非宗派主義に基づく民衆運動と、間のトルコのイスラームの政治への影響力の変化の概観の2編しかなかった。特にフィリピン(民主化要素のない過激派の話)や中央アジア(旧ソ連の枠に関する宗教色の薄い話)、聖典解釈やクーファ(現代の民衆運動に強く反映されているとは思えない)に関する論文は本書に収録する必要を全く感じない内容だった。2015/05/05

Kenji Suzuya

0
記述的なアプローチに終始するのではなく、「分析的な枠組みをなるべく明示的に提示」する、という本書の目的は、残念ながら達成されていない。それどころか、各分担著者の関心に従っただけの、事実の羅列にすぎない章も多々存在する。そういった点から、学術書としてのこれは出版に耐えうるようなものではない。また、本書でも言及される「民主化」は甚だ曖昧な用い方であり、政治学的な分析にはとてもじゃないが堪えられない。2013/05/09

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