出版社内容情報
20世紀初頭,帝政ロシア治下の中央アジアでイスラム改革運動を担った知識人たち(ジャディード).ロシア革命は彼らに飛躍の機会を与えたが,民族の意味を再発見した改革主義者たちは歴史の闇に葬られた.運動の軌跡と遺産を読み直し,民族問題の深層を探る.
内容説明
20世紀初頭、イスラム改革運動を担った知識人たち(ジャディード)。ロシア革命によって民族の意味を再発見した彼らは、やがて歴史の闇に葬られた。本書は運動の軌跡と遺産を読み直す。
目次
第1章 聖なるブハラ
第2章 イスタンブルの光彩
第3章 青年ブハラ人
第4章 革命と文学
第5章 薄幸の共和国
第6章 二つの文学史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
2
ロシア革命前後の、中央アジアのウズベク人改革者達がいかにロシア革命に巻き込まれ、利用と共闘の間で揺れ動き、最終的には切捨てられていく悲劇的な軌跡を追っていく。余り知らない帝政期からロシア革命期の中央アジア情勢がわかって興味深い内容。中央アジア南部の中心であったブハラを巡る革命後の騒乱や、五つの共和国を生み出した「民族的境界画定」についても枚数を割いている。ウズベク系のブハラ人達にとって不幸だったのは、彼らの望んだムスリム的な開明的改革を遥かに上回るスピードでロシア革命が進行した事だろう。2015/03/24
Chaturdashi Yura
0
かつてティムールの聖都として栄華を極めたシルクロードのオアシス都市ブハラ。 アミールの専横と硬直した宗教的権威のもと、前近代の夢想のなかにまどろんでいたこの都で、列強による覇権争いの駒から自立した政治的・社会的主体としてのムスリムの覚醒をめざしたジャディード(イスラム改革者)たち。挫折し、やがて闇に葬られていったかれらの軌跡を通じ、トルキスタン・ナショナリズムとソビエト・ロシアの狭間で引き裂かれた民族の苦悩を浮き彫りにしていく。2013/04/09