東洋叢書
イスラーム世界の創造

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  • サイズ B6判/ページ数 316,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784130130431
  • NDC分類 228
  • Cコード C1322

出版社内容情報

★本書は『書評空間 KINOKUNIYA BOOKLOG』にエントリーされています。

内容説明

イスラーム世界は存在するのか。創られた概念が生み出す認識に挑み、「世界史」のあり方を根底から問う。

目次

「イスラーム世界」という語のあいまいさ
第1部 前近代ムスリムの世界像と世界史認識(前近代ムスリムの地理的知見と世界像;前近代ムスリムによる世界史叙述)
第2部 近代ヨーロッパと「イスラーム世界」(マホメット教とサラセン人(一八世紀以前)
「イスラーム世界」の創造
東洋学と「イスラーム世界」史研究)
第3部 日本における「イスラーム世界」概念の受容と展開(「イスラーム世界」概念の成立以前;日本における「イスラーム世界」の発見;戦後の「イスラーム世界」認識)
「イスラーム世界」史との訣別

著者等紹介

羽田正[ハネダマサシ]
1953年生。1976年京都大学文学部史学科卒業。1983年イラン学第3期博士(パリ第3大学)。1986年京都橘女子大学文学部助教授。1989年東京大学東洋文化研究所助教授。東京大学東洋文化研究所教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ドウ

3
「イスラーム世界」という用語が、中東やヨーロッパでどのように、誰によって創造されてきたか、そして「イスラーム世界」が日本ではどのように論じられてきたか(特に世界史で)について歴史学的に論じる。「イスラーム世界」はイデオロギーに過ぎず、これを用いるのはヨーロッパ対イスラーム世界という二項対立的世界観で物事を捉える19世紀ヨーロッパの「進歩的」知識人か、ウンマとしてのイスラーム世界を肯定的に捉えるイスラーム主義者のいずれかだ、という主張がたいへん良い。その通りだと思う。2016/09/24

水無月十六(ニール・フィレル)

2
「イスラーム世界」とは何かについて、西洋の研究、中東地域の著述、日本でのイスラム教研究などの話から合わせて検討した本。「イスラーム世界」という言葉はどの範囲を指すのかというのは様々であるが、著者は共同体ウンマのような理念的なものとして使うべきという主張。最近の「イスラム国」などについて考える上でも使えそう。冒頭で本書でのイスラームという記述の使い分けについて説明されているが、全体を通してそれが貫かれているかはわかりにくい気がする。2015/10/20

Kenji Suzuya

2
中東地域の中世、西洋の近代の言説、日本の戦前戦後の研究の分析を通じて、「イスラーム世界」という枠組みを改めて検討する。日常見かける「イスラーム世界」に関する言説は、複数の定義を混同して用いているものであり、ウンマとしての意味以外では用いるべきではないというのが本書の主張。主張自体には同意するが、その論証過程では「イスラーム」と「イスラーム世界」を混同して用いているようにも見受けられ、説得力はいささか疑問。それにしても現実の政治分析で「イスラーム世界」という概念は未だ根強く残っており、道は長い。2013/09/25

佐藤丈宗

1
自明のことのごとく使われている言葉が実は曖昧で、それがため本質の理解を妨げるということがある。「イスラーム世界」という言葉がまさにそれだ。様々な史料から「イスラーム世界」という言葉の起原を追い、その問題点を描く。羽田先生は他の著作からも伺えるように、現在の「世界史」の描かれ方、教え方に強い問題意識を持っている。本書でもその姿勢が滲み出ているので、イスラームを主題としているが、史学概論のひとつのケーススタディとしても読める。2017/06/09

yagian

0
「イスラーム世界」という概念は、19世紀後半のヨーロッパで、世俗化したヨーロッパに対する宗教が専制的に支配する後進的な地域として形成されてきたという。そして、ヨーロッパの植民地化に対抗するために、この概念にプラスの意味を与えた「パン・イスラーム主義」を作り上げたという。この種のオリエンタリズムとその裏返しはよくあると思う。「アジア」という概念と「アジア主義」もその典型なんだろうなあ。2016/01/29

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