内容説明
双子のような美貌の兄妹が、思春期を境目に世俗にまみれてゆく「女人神聖」、美食を極めた男達が最終的にたどり着いた悪夢の食卓「美食倶楽部」、グラン・ギニョール風の時代劇「恐怖時代」、短いながら絵画のような余韻を残す「天鵞絨の夢」など、バラエティに富んだ大正期の作品群を収載する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
訪問者
4
「女人神聖」、「美食倶楽部」、「恐怖時代」、「天鵞絨の夢」と谷崎らしい作品が収められているが、とりわけ「恐怖時代」は登場人物のほとんどが死んでしまうという凄まじい作品であり、どんな形で上演されたのであろうか。さぞかし凄まじい舞台になったことだろう。2019/07/24
MatsumotoShuji
2
三十代半ばの谷崎の乗りに乗っている頃の作品集。どれも残酷で怖くて、美しい。中でも、一人の乞食が濁った川面を見つめるだけの話「或る漂泊者の俤(おもかげ)」の美しいこと! 一方ショックなこともあって、「女人神聖」の「ことし五十いくつになる老人」という文章。ひえー、老人なんだって。2018/03/07