出版社内容情報
アメリカの世界覇権が陰りを見せるなか、欧州で主導権を握り、存在感を増すドイツ。しかし英仏など周辺国からの反撥は根強い。そこには経済をはじめとする国力の強大化への警戒感だけでなく、放漫財政を指弾し、難民引き受けや環境保護を迫るなど、他国にも西欧的=「普遍」的価値観に照らして「正しい」ことを求めるドイツの姿勢がある。二千年にわたる歴史を繙き、ドイツはいかにしてドイツとなったのかをさぐる。
目次
第1章 発展(九~一七八九年)―ローマ=ゲルマン世界の「普遍」支配(ローマ世界とゲルマン世界との融合;キリスト教的世界を狙うドイツ;宗教改革・宗教戦争・宗派共存)
第2章 抵抗(一七八九~一九四五年)―ドイツ「固有」の自己主張(フランス革命と新しい「普遍」の登場;欧州勢力均衡とドイツ連邦;ドイツ帝国の勃興と孤立;ドイツ国民国家の共和制的再編;大ドイツ帝国の興亡)
第3章 萎縮(一九四五~一九九〇年)―ドイツ「固有」の自己否定(国家消滅と「修正による再出発;二つの「普遍」大国に従属する東西ドイツ;ドイツ的過去の封印;「六八世代」と「破壊による再出発」;歴史家論争から憲法愛国主義・多文化主義へ)
第4章 再生(一九九〇~二〇二一年)―新しい「普遍」支配と「固有」の復権(「九〇年世代」の登場;「六八年世代」にいよるドイツの大国化;国民的尊厳の再構築;甦る君主制・教会・軍隊の伝統;「知的戒厳令体制」への反抗;「過去の克服」のブーメラン効果;東独の植民地化とオスタルギー)
著者等紹介
今野元[コンノハジメ]
1973年(昭和48年)、東京都に生まれる。ベルリン大学第一哲学部歴史学科修了、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、Dr。phil、博士(法学)(東京大学)、愛知県立大学専任講師、准教授を経て、現在、愛知県立大学外国語学部教授。専門は欧州国際政治史、ドイツ政治思想史、日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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