出版社内容情報
シェイクスピアから吉本隆明まで古今東西の名句を紹介し、社会の深層と人間の本性を見抜くコツを伝授。毎日新聞好評連載を書籍化。
内容説明
古今東西の名句・名言を集めた「引用句辞典」は、スピーチなどで実用的に役立つだけでなく、人間の知恵や真理、処世訓の宝庫でもある。本書ではマキアヴェリ、シェイクスピア、タレーラン、夏目漱石、吉本隆明ら69人、71の名句・名言を紹介。あわせて、政治・経済から少子化、いじめ問題に至るまで、近年の時事的な話題を切り口に、引用句を生かして社会の深層と人間の本性を見抜くコツを伝授する。
目次
1 人間の本性、世界の不条理
2 好き嫌いが決める政治
3 強欲資本主義と財政破綻
4 成熟を拒否する日本人
5 自己表現としての殺人
6 教育の顧客満足度
7 面倒なセックス
8 終わりの始まり?
著者等紹介
鹿島茂[カシマシゲル]
1949年(昭和24年)、横浜市に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。現在、明治大学国際日本学部教授。専攻、19世紀フランスの社会と文学。著書に『馬車が買いたい!』(白水社、サントリー学芸賞)、『子供より古書が大事と思いたい』(青土社、講談社エッセイ賞)、『愛書狂』(角川春樹事務所、ゲスナー賞)、『職業別パリ風俗』(白水社、読売文学賞)、『成功する読書日記』(文藝春秋、毎日書評賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
45
読メユーザーのレビュから題名を覚えていた。まえがきの引用ということについてが気になって借りたのだが、思っていたのと内容が違う…… 新聞に連載されていた『世相を斬る』コラムをまとめたものだそうだ。2007年ぐらいのものらしい。まえがきだけ読んで返す。いろいろ言いたいが、こういう本はもう飽きてるんで。メモ:欧米の教育で引用というものを学ばせるのは聖書読解の伝統の影響だという。『欧米人には「言葉はすべて他人(じつは神)の言葉」であり、人間のオリジナリティは言葉の運用の部分にしかないという認識があるのだ』2017/02/24
傘緑
42
「フランスの文系バカロレアで重視されるのは、ディセルタシオンと呼ばれる論述試験の中でどれくらい引用をたくさんしかも効果的に行えるかということである…欧米人には『言葉はすべて他人(じつは神)の言葉』であり、人間のオリジナリティは言葉の運用の部分にしかないという認識がある…物書きのオリジナリティというものは、他人からどのような引用を行って、それをどう並べて…それをどう解釈するかということに尽きる」文章のほとんどが引用で、著作権はもとよりオリジナリティが存在しないことを断言してる私には座右に据えたい心強い引用句2017/02/18
かるかん
28
言い過ぎていたり、見当違いな箇所も見られたが、なかなかに的を射ている記述が多かった。 また、今後の動向についての予想は当たっているものが多く、感心させられた。 2014/12/17
nbhd
24
鹿島さんのノホホンとした知のあり方に惹かれる。「世界のだいたいのことは、すでにプラトンが考えていて、世界のだいたいの感情は、すでに夏目漱石が経験している」と僕は考えているところがあって、つまり、だいたいの事柄にはすでに経験済みの諸先輩がいる。そういう諸先輩方の緒言をタネに社会時評をしているのが、この本だ。パスカル先輩とかは、もうだいぶ前に「新しい思想なんてものはなくて、内容の配置の仕方が新しいだけ」とか気づいているし。社会の荒波も、諸先輩とつながればノホホンと対応できる。そんなことをノホホンと感じ取った。2021/12/17
ふろんた
21
名文、名言を引用し、現代社会にエスプリをきかせたコメントを寄せる。仏文学者なので、引用はさすがと思えるが、政治に関しては、塩野七生氏がローマ史を引き合いに執筆したものと対比するとパワー不足に感じた。2014/05/14