内容説明
認知症、病気、詐欺、事故、子どもの失業―老後の生活にはさまざまなリスクが潜んでいる。そして一度問題が生じると、周囲に気づかれないまま生活が破綻してしまうことも、現代の日本社会では少なくない。高齢者を助けるサービスはたくさんあるのに、なぜ十分に活用されないのか。苦しむ高齢者を一人でも減らすため、また、自分や家族がそうした事態に陥らないために、何が必要なのか。豊富な実例とともに考える。
目次
第1章 高齢社会の現実(高齢化の特徴;健康 ほか)
第2章 事例で見る生活破綻(判断力の低下;健康状態の変化 ほか)
第3章 高齢者特有のリスク(生活破綻の実態;セルフマネジメント能力の低下 ほか)
第4章 サービス利用の有無を分けるもの(社会保障制度の変遷;こんなにある有用なサービス ほか)
第5章 高齢者の生活破綻を防ぐために(守らなければならないもの;大阪の社会貢献事業 ほか)
著者等紹介
西垣千春[ニシガキチハル]
1958(昭和33)年、京都府生まれ。関西大学社会学部卒業、大阪大学大学院医科学研究科修士課程、同医学研究科博士課程修了(医学博士)。社会福祉法人聖徳園職員、大阪大学医学部助手、四天王寺国際仏教大学人文社会学部助教授を経て、神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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飯田健雄
43
この本は面白くなかった。幸福度は、健康状況、家族関係、家計状況で決まると言っている。若いうちは、これらが満たされている前提で論理を組み立てている。低所得のフリーターの青年は?母子家庭で、子供の進学で困っている母親は?いじめで自殺したい中学生の幸福度は?老後=勝ち組になる=生活不安の解消とも、意地悪く言えば解釈できてしまう内容である。なんで、このような皮相的論理になるのか、それは、老後を包括的に取り扱り扱うよりも、一つの事例で攻めていって、それを掘り下げたほうが、読者もより納得すると思った。2017/08/26
rokoroko
15
こうやって、老後の生活を暗い方にとらえる見方もあるかもしれない。でも福祉の現場にいた私は好き放題にやくざな生活してた人が老人施設で安穏と暮らしてたり、生活保護費使い果たしてパチンコ屋で突然亡くなったと言う(幸せ?)な事例も見てる。厳しく自立して生きようと苦しむ人がいると言う現実と社会的に保護を受けている人との落差は何だろう?2019/10/26
てくてく
7
退職後は年金と貯蓄で悠々とした老後生活ができるかと思いきや、病気、自己、子どもによる依存、あるいは経済的搾取などで、その生活が破たんしてしまうことを、具体例を挙げて説明するとともに、その状況を回避するための気づきや対策について述べている。確かに、退職後の親がトラブルに巻き込まれても同居していない場合は容易には気づかない。また、子世帯に依存しすぎるのではなく、親世代そのものが他人の協力を得る方法を学んでおいて欲しいと思った。2015/09/13
壱萬弐仟縁
6
どんなお年寄りが行き詰るか。無縁社会、孤独死が社会問題化してきた昨今、人の縁が重要な時代に突入した。健康、家族、収入という要因が幸せを規定していくようだ(4ページ)。こうした要素の逆は、病気、無縁、無収入になるので、こうしたリスクを受け止めると暮らしていけない状況に陥る。本来、こうした方々は福祉制度で救済されるのだが、多くの人が該当する時代になると、制度では救えないことになってしまいかねない。認知症、アル中、交通事故に詐欺の餌食、近親者による経済搾取などの問題を抱える困窮者たち。希望があれば生きられるが。2012/11/27
だいすけ
3
「幸せの指標である健康、家族、経済のすべてが揺らいでいるのが現代の高齢者なのである。」「十分な蓄え―金銭的なものだけではなく、家族や地域のつながりも含む―がある者は、失くしたものを補う手段を見つけやすく、危機を乗り越えられるだろう。」「認知症」「健康状態の変化」「近親者による経済的搾取」「子どもが親に経済的依存」「予期せぬ事故・災害」「詐欺による被害」2019/05/19