内容説明
ニホンザルにも孫がいる。しかし、サルのおばあさんは孫を特別な存在としてとくに意識することはない。だが、ヒトはちがう。孫と祖父母とのつながりには、単なる生物的な関係をはるかに超えた、社会的・文化的な意味が隠されている。本書は、ニホンザルやアイアイの生態を研究してきた研究者が、その手法でみずからとその孫を観察した貴重な記録である。かつて孫だった人、これから孫を持つことになるすべての人へ。
目次
1 ほほえみの生まれるとき
2 心は花のように開き
3 笑い
4 新しい歌、新しい遊び
5 遊びを食べて子どもは育つ
6 恐怖とその克服
7 心の枝は展がり
8 「ごっこ」に夢中
9 孫と祖父母
10 心の香り
11 彼方へ
著者等紹介
島泰三[シマタイゾウ]
1946年、山口県下関市生まれ。下関西高等学校、東京大学理学部人類学科卒業。東京大学理学部大学院を経て、78年に(財)日本野生生物研究センターを設立し、ニホンザルをはじめ野生動物の研究をおこなう。その後、房総自然博物館館長、雑誌『にほんざる』編集長、天然記念物ニホンザルの生息地保護管理調査団(高宕山、臥牛山)主任調査員、国際協力事業団マダガスカル国派遣専門家(霊長類学指導)等を経て、現在、NGO日本アイアイファンド代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なにょう
15
八割読了。じい様の孫の自慢日記。しかし、このお孫さんは要領よしで末頼もしい子だな。おしゃべりさんで。★四歳ころから自分自身の内面と対話するようになる…のか?そうかもしれない。そのくらいになるとすっかりいっちょ前になって大人顔負けの発言をするようになる。★人間は死んじゃうけど、子や孫や若者を通して将来を見通す。だから安心して死んでいけるんだろうね。2017/05/17
Takayuki Oohashi
15
図書館に行った際の、普段行かない教育の書棚で見つけた本です。題名が気になり、パラパラめくった所、可愛い女の子のイラストが載っていて、それで借りてみました(佐藤純子という方が描いているそうです)。これは学術的な本というよりも、孫が目茶目茶可愛い爺さんの育児日記だと思いました(笑)。どんなに甘やかしているように思えても、愛情を持って子供に接することが、人間らしい成長を育むというメッセージをもらったような気がします。今は亡き母方の祖母も、僕が生まれた時はこの爺さんのように喜んだんだろうな、と懐かしくなりました。2016/08/11
kenitirokikuti
4
サル学者が自分の孫娘の0歳から6歳までを観察したもの。子の観察記録はありふれているが、孫を見たものはあまりないらしい(たしかに思い浮かばない)。ニホンザルは4歳で子を生む。だから群れに祖母や曽祖母がいるがふつう。もっともサルには孫やジジババという概念はない▲乳児は一才前に笑う。一才半ばにことばを発する。3歳頃にはひとりで移動し、ことばを話し、友だちと遊ぶ。赤ん坊でなく子どもになるのだ。四歳になると、恐怖を克服できるようになる。怖さを感じないわけではないが、心の中で怖さが無限に広がることを阻止する。…2017/07/17
epitaph3
4
私も我が子に対して思いついた時に記録を書いているが、著者のように丁寧に書けてはいない。祖父ならではの視点があるだろう。2014/01/04
13km
3
幼児期が人にとってとても大切な時期なんだと感じる。三つ子の魂百までとはよく言ったもんだ。ごっこ遊びでの孫の理不尽さ支離滅裂さは微笑ましくもあるし、頭の中どうなっているのかと不思議にもなった。2012/05/20