中公新書
和の思想―異質のものを共存させる力

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  • サイズ 新書判/ページ数 208p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121020109
  • NDC分類 911.04
  • Cコード C1292

出版社内容情報

和とは本来、さまざまな異質のものを調和させる働きを言った。なぜ、この和の力が日本に生まれ、日本人の創造力の源となったのか……。

内容説明

和食、和服、和室…、「和」はいろいろな言葉に添えられて日本的という意味を付け加えているにすぎないようにみえる。だが本来、和とは、異質のものを調和させ、新たに創造する力を指すのだ。倭の時代から人々は外来の文物を喜んで迎え、選択・改良を繰り返してきた。漢字という中国文化との出会いを経て仮名を生み出したように。和はどのように生まれ、日本の人々の生きる力となったのか。豊富な事例から和の原型に迫る。

目次

第1章 みじめな和
第2章 運動体としての和
第3章 異質の共存
第4章 間の文化
第5章 夏をむねとすべし
第6章 受容、選択、変容
第7章 和の可能性

著者等紹介

長谷川櫂[ハセガワカイ]
1954年(昭和29年)、熊本県生まれ。俳句結社「古志」主宰、朝日俳壇選者、「季語と歳時記の会」代表。東京大学法学部卒業後、読売新聞記者を経て俳句に専念。『俳句の宇宙』でサントリー学芸賞(1990年)、句集『虚空』で読売文学賞(2003年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

67
和とは、さまざまな異質のものをなごやかに調和させる力のことである。日本人が培ってきた〈和〉は本来、異質のもの、相容れないもの同士が引き立てあいながら共存することだった。それがいつのまにか、異質なもの同士の調和を忘れ、同系色ばかり、同質のもの同士、似た者同士が和気藹々と集い、馴れ合っているのを和と勘違いするようになった。この日本人の生活と文化における創造力の源であった〈和〉を著者の専門とする俳句の世界や、「運動体としての和」「間の文化」「受容、選択、変容」というところから解き明かしたのが本書である。和が馴れ2020/04/01

かず

22
私の名前は「和行」です。小学生の頃、「名前の由来を聞いてきてください」という宿題、出されなかったでしょうか?私の場合、意味を深く考え始めたのは40代になってからでした。その一環で「和とは何なのか」調べたくなり、本著を購入。「和とは様々な異質のものを和やかに調和させる力」である、と。各地域から異なる文化を持つ民族が流入し、日本という国を形作る過程で、蒸し暑い風土が作用して、対立を涼やかに解消すべく和えたものが日本文化であり、それこそが「和の文化」である、と論考します。和とは洋の対立概念ではないのです。2020/09/03

ヒダン

14
和とは西洋でも中華でもないものを表す際に使われる接頭辞になっているが、異質なものを調和させるダイナミズムこそ本来の和である。これはどこかで聞いたことのある説だった。和には間が必要で、間をとるのは涼やかにするためであり、それはそもそも日本の夏が蒸し暑いからだという主張は単純化しすぎているようにも思えるが大胆で面白い。俳句の専門家ということで、芭蕉の句の取り合わせの妙の解説はなるほどと感心した。井沢元彦が「和」を考察するキーワードにしていた「和を以て貴しと為す」が出なかったのはちょっと意外だった。2016/10/08

西澤 隆

5
「陰翳礼讃」は国語の教科書で名文と権威付けられて読まされた文章。でも読んだのは教科書に載ってる部分だけという人も多い。だから冒頭での「谷崎は黄色い肌を汚物だと言ってる」という問題提起にまず驚かされた僕は導入部から筆者の思うつぼだ。「和」を日本古来の形ではなく元からあるものと取り入れたものを共存させる形として定義する論は時に相当独善的だとは思うのだけれど、ものすごい力で短くぶった切るのが575の俳句の力なのだとすればこれは俳人ならではの論なのだなとも思う。ある意味「俳句ってアバンギャルドだ」とも感じました。2018/07/27

ceskepivo

4
唐突にアテネオリンピックの話から入り、最後は「そうだよな」と頷いて読み終えた。本書は英語に翻訳して出版されないのだろうか。日本人が日本人として生きながらえた思想を解説している。「和の力」とは、外国の文化を受容し、その中から暑苦しくない物を選び出し(受容)、さらに涼しいように作り変える(変容)の3つの働きのこと。「間」も様々なものが共存する上で欠かせない。和とは、異質なものを調和させ、世界平和に向けた力になる。「和」についてもっと自身をもとう! 2022/01/03

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