中公新書<br> 戦国仏教―中世社会と日蓮宗

中公新書
戦国仏教―中世社会と日蓮宗

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  • サイズ 新書判/ページ数 242p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121019837
  • NDC分類 188.92
  • Cコード C1221

出版社内容情報

飢饉と災害の続く中世、人々は仏教に何を求めたのか。社会史の成果も用いて、中世社会がいかに鎌倉仏教を受容、興隆させたかをたどる

内容説明

地域社会に根付いた寺院は歴史的にさまざまな役割を担ってきた。もともと鎮護国家を任としていた仏教だが、鎌倉時代に興った新しい宗派は個人の救済を目指し、室町~戦国時代にかけて地域に浸透していく。戦乱や災害、飢饉がおびただしい奴隷を生む過酷な時代において、寺院は地域でどのような役割を担い、民衆や領主らはいかに仏教を受け入れたのか。日本史における宗教と社会の関わり合いをあぶり出す。

目次

第1章 戦国仏教とは何か
第2章 日蓮―祖師の生涯と鎌倉社会
第3章 門流ネットワークと南北朝内乱
第4章 日親―結衆と一揆の時代を生きる
第5章 西と東の日蓮宗
第6章 戦国仏教の成立

著者等紹介

湯浅治久[ユアサハルヒサ]
1960年千葉県生まれ。明治大学大学院文学研究科史学専修博士前期課程修了。博士(史学)。現在、市立市川歴史博物館学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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かごむし

29
鎌倉時代に生まれた宗教が、室町、戦国時代へとどのように広まり、定着していったかというテーマ。鎌倉時代はまだ天台宗などの顕密仏教の時代だったようだ。主に社会との関わりを強く意識する日蓮宗を取り上げて考察する。自分の所属する宗教の関係から、日蓮の事績というのは非常に興味があったけれど、日蓮没後の、特に日興以外の宗派について考えようとしたこともなかったから、新鮮で興味深かった。社会との関わりの中で、教えの純粋性を求めるのか、妥協もやむなしとするのか、信仰の形も変わっていく様は、宗教とは生き物なのだと実感する。2020/01/16

Tomoichi

19
鎌倉仏教鎌倉仏教の一つ日蓮宗を軸に、日蓮の誕生から教団の発展と戦国仏教への変遷を当時の社会の関係性から読み解く一冊。日蓮宗の分派の歴史や「法華の政治好き」の理由もわかって面白かった。教科書では一向一揆と比べて注目されない天文法華一揆も理解できる。織田家と日蓮宗の関係や本能寺の話まで話が脱線してくれればもっと面白かったかも。宗門の人ではない研究者の真面目な本です。2018/08/20

18
不受不施派って字にすればそのままの意味ではあるんだけど、信じてないやつは救わねえ(但し、金もってる君主王侯は除く)の身も蓋もなさすごいな…。天災続きで、有徳人=裕福であることだった時代ならではだなあ。そんな中、個人で日蓮宗信じてても、その地を治めてる者が帰依してないなら救わない、お地蔵さんやお薬師さんがあったら破門だの日新ェ…。そら焼けた鍋を被せられるのも分かるわ。その辺りの流れが江戸時代の檀家制度の前身ではないかとの指摘。面白かったけど、もうちょっとつっこんでもいいような気もしないでもない。2020/08/30

moonanddai

12
「戦国仏教」と何か大仰な言い方ですが、鎌倉新仏教(わが浄土宗もこれ)広く定着したのが戦国時代であるためこの名称となったとのこと。ただし(考えてみればうなずけることではあるのですが)宗祖の思想そのままが広がるのではなく、受け手の共鳴ということもありますが、民俗信仰や密教の要素なども取り入れられていくなど、広める側の妥協というか変質も当然「ある」。戦国時代とは飢饉と災害、そして騒乱の時代であったとか。そのために民衆の切実な思いが合致していったということもうなずけます。2019/01/09

Ind

2
戦国時代にかけて地域が国として閉じていく中で、宗教が全国的な広がりを持ち各地を繋いでいたという点が面白かった。また治安維持の必要性や家の意識の成立に伴って、権力者から有徳人、庶民と徐々に一般の人々へと浸透していく過程も興味深かった。寺や人の名前など知らないことが多すぎて疲れ、少々読み飛ばしてしまったためまた機会があれば勉強したい。2021/09/02

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