中公新書<br> ギリシア悲劇―人間の深奥を見る

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中公新書
ギリシア悲劇―人間の深奥を見る

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  • サイズ 新書判/ページ数 366p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121019332
  • NDC分類 991
  • Cコード C1297

出版社内容情報

それ以降の世界の演劇に圧倒的な影響を及ぼしたギリシア悲劇とは何だったのか。主要11作品を丁寧に読み込んで、その本質に迫る。

内容説明

後世に残されたギリシア悲劇は、三三篇のみで、しかも、そのすべてが紀元前五世紀に創作・上演されたものである。宗教性、文芸性、社会性、いずれの面からしても、当時のポリス・アテナイの独自性と不可分のものであったこれらの演劇が、時代と場所を異にする場でも、人間を考えるための普遍性を維持しているのはなぜだろうか。本書は、代表的な一一篇の豊かな内容に分け入りながら、その魅力と奥深さを探る。

目次

序章 ギリシア悲劇とは何か
第1章 自由こそ―アイスキュロス『ペルシア人』
第2章 法の正義―アイスキュロス『オレステイア』三部作
第3章 人間讃歌―ソポクレス『アンティゴネ』
第4章 知による自立―ソポクレス『オイディプス王』
第5章 情念の奔流―エウリピデス『メデイア』
第6章 病める知―エウリピデス『ヘレネ』
第7章 懐疑、そして反乱―エウリピデス『キュクロプス』、『オレステス』、『バッコスの信女』
終章 精神史としてのギリシア悲劇

著者等紹介

丹下和彦[タンゲカズヒコ]
1942年(昭和17年)岡山県生まれ。京都大学文学部卒業。同大学院文学研究科言語学専攻博士課程中退。和歌山県立医科大学教授、大阪市立大学教授を経て、関西外国語大学教授。京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サロメ

9
ギリシア悲劇は舞台で上演された演劇であるが、我々がそれを見る事は絶対に不可能である以上、文学として読み解いて楽しまなければならない。各作品が書かれた時代と当時のアテネを中心とするギリシアの社会状況を踏まえ、作者が作品に込めた思い(思想)を読み解き、悲劇作品の持つ文学的魅力を教えてくれる。「人間の深奥を見る」と副題を振っているが、哲学的な本ではない。単に戯曲としてさらっと読んだだけでは掴みきれないギリシアの精神文化を学べる良書だと思う。特にオレステイア3部作、オイディプス王の解説は秀逸だと思う。2013/04/07

ヴェルナーの日記

5
戯曲・詩の原点はギリシャから始まる。文芸批評を学ぶには格好の題材といえる。というよりもここから始めなければ、その後に続く戯曲・詩・小説の批評へと続くことができないので、一度は通らなければならない道である。本書は、「イーリアス」や「ホメロス」を基本に創作された11編の演劇から、当時のギリシャ(主にアテナイ)における社会性を浮き彫りにし、人間の本質と社会との関わりを突き詰めようとした意欲作である。2013/02/17

みのくま

4
アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスの描いたギリシア悲劇をただ紹介するわけではなく、上演時のアテネの世相と大衆の無意識を反映させて作品を読み解く本書は、全くの傑作であると言って過言ではない。まさに文学と歴史の融合が本書で果たされているのだ。アテネ人がペルシア戦争で得た自信は、ペロポネソス戦争が進むにつれて失われていく。それはギリシア的価値観の崩壊を意味する。代表的なのは「知」や「法」についてだ。野蛮なものを線引きし、ギリシア的な「知」や「法」を称揚していたギリシア悲劇は、非理性的なものに蚕食されていく2023/08/03

Saiid al-Halawi

4
個々の作品の、よく練られた構成に感心する。 ギリシア悲劇とは、今日の映画や少し昔の時事ものオペラなどのように、その内容に同時代性を多分に備えた市民向けメディアのような役割をも担っていたようだ。前5世紀当時にあって、作者の意図を余すことなく汲み取れていたアテナイの自由市民が一体どれほどいたことだろうか。2011/04/20

やま

2
授業のため再読2014/06/08

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