出版社内容情報
子どもに対する悲惨な犯罪の再発を防ぐため、英米では児童に対する性犯罪者の登録公表制度が導入された。仕組みと功罪、合憲性を検討
内容説明
子どもに対する事件が跡を絶たない。特に性犯罪の前歴がある人間による同様の犯罪を防げなかったことは、社会に大きな衝撃を与えた。アメリカではすでに、メーガン法と呼ばれる、児童に対する性犯罪者の登録・公表制度が導入されている。日本でも近年その存在が注目されるようになったが、政府は導入に消極的だ。メーガン法は子どもを守る手段となるのか。その制度と功罪、合憲性について検討する。
目次
1 奈良県児童誘拐殺害事件の衝撃
2 アメリカにおけるメーガン法の制定
3 メーガン法をめぐる争い
4 メーガン法の合憲性をめぐる裁判所の判断
5 日本ではメーガン法制定の必要はないのか
6 メーガン法は日本国憲法に違反しないか
7 加害者が少年の場合をどう考えるか
8 子どもを性犯罪から守るためにすべきことは何か
著者等紹介
松井茂記[マツイシゲノリ]
1955年愛知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科修士課程修了。大阪大学大学院法学研究科教授などを経て、ブリティッシュコロンビア大学教授。専攻、憲法・比較憲法論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hikarunoir
6
既にどうしようもない犯行の蔓延を前提に議論や法整備が進められるのは仕方ないが、予防(教育)についての言及が余りに蔑ろで辛い。2017/01/11
sk
4
アメリカで施行されている性犯罪者登録公開法であるメーガン法についての法的議論。面白い。2021/08/20
Yusuke Kameoka
0
松井先生の本です。論文とともに読んでみるといいかもしれません。メーガン法について書いている本のなかではこの本は一読の価値あり。ただ、現在の問題を把握するためには、保護観察等を担当する法務省の考えも知る必要がありそうです。2015/01/24
Tomoe Shibata
0
タイトルに惹かれて読んだが、偏りがあり、途中で読む気が失せた。2015/01/18
新橋九段
0
アメリカの事例まで含めて具体的な数値と共に考察しているのは興味深い。一方で結論がメーガン法支持ありきで、子供を性犯罪から守ることを金科玉条にしてそれに伴う人権の制限にあまりにも無神経な記述もみられる。反対派の主張も取り入れた方がバランスがいいだろう。2014/10/06