出版社内容情報
実績主義や自由競争の市場社会への転換が声高に叫ばれている。だがその「実績」は本当に本人の力によるものか。著者は社会調査の解析から専門職や管理職につく知識エリートの階層相続が戦前以上に強まっていることを指摘。この「階級社会」化こそが企業や学校の現場から責任感を失わせ無力感を生んだ現在の閉塞のゆえんとする。一億総中流の果てに日本が至った新たな階級社会の実態を明かし真の機会平等への途を示す。
内容説明
実績主義や自由競争の市場社会への転換が声高に叫ばれている。だがその「実績」は本当に本人の力によるものか。筆者は社会調査の解析から、専門職や企業の管理職につく知識エリートたちの階層相続が戦前以上に強まっていることを指摘。この「階級社会」化こそが企業や学校の現場から責任感を失わせ、無力感を生んだ現在の閉塞のゆえんとする。一億総中流の果てに日本が至った「階級社会」の実態を明かし、真の機会平等への途を示す。
目次
序章 『お嬢さま』を探せ!
第1章 平等のなかの疑惑―実績VS努力
第2章 知識エリートは再生産される―階層社会の実態
第3章 選抜社会の空洞化―粘土の足の巨人
第4章 「総中流」の落日―自壊するシステム
第5章 機会の平等社会への途―効率と公平
終章 やや長いあとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
82
表題が面白いので読んでみました。私は基本的には日本は平等であると感じています。少なくともイギリスの貴族社会や中東の王族などに比べると実力主義社会だと思います。それが行き過ぎると、オリンパスや今マスコミで騒がれている東芝のような状況が出てくるのではないかと思っています。ただ最近の若い人の話しを聞いていると、上昇志向というものがある人とない人に分かれてきているのではないかという気がしています。少しヒントにはなる考え方もありました。2015/08/02
佐島楓
47
今さらと思われるかもしれないが、私にとっては衝撃的な本だった。もっと早くこの本に出会っていたら、進路に影響を受けていたと思う。2015/10/02
マッキー
16
統計学やデータ解析がメインのお話なのですが、筆者の言いたいことはなんとなくくみ取れました。でもこの本は私向きではなかったですね。もう少し経済を本格的に勉強されている方が読むとすんなり理解できると思います。2017/07/15
きいち
12
「自分ら、自分の努力だけで今の仕事に就けてると思たら大きな間違いやで!」と、私を含めた大卒の管理職・専門職、あるいはその予備軍たち(読者は確かにほとんどそうだろう)に啖呵をきる本。社会調査の報告、ということでこれまで食指が動かなかったのだが、こんなに熱い本だったとは嬉しい誤算だった。「努力すればなんとかなる」「努力してもしかたない」事例や実感値は何ぼでもある、だからこそ調査に価値がある、という位置づけで射程を限定してから始まることもわかりやすい。何より、ここをスタート地点にできる生産的な論だてだと思う。2012/07/09
tolucky1962
11
データから階層の相続性を主張。ホワイトカラー雇用上層の子は富裕層になりやすいが、受験で努力の成果と思い込む形式的平等。格差固定化が『努力してもしかたがない』へ。戦後経済成長より上層が減る中、格差が明確に。欧米より日本の階層化は強くないが、成果と思い込む点が違う。日本の富豪は表に出ず寄付も少ないのも関係するか。解決策にブルーカラー専門職の地位向上等あげる。'95迄のデータで'00出版。今さらに格差が問題視される。少ないデータから統計学を駆使して結論を導き、すごいがどこまでの精度なのかとは思う。2016/03/02