感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
117
ドイツ現代史ご専門の村瀬先生の「ナチズム」に続く、ヒトラーが出現した背景を新書版ながら克明に記してくれます。ヒトラーの師や家庭の状況、あるいは受けた教育などがよくわかります。やはりこの本を読むと彼が支持を受けた背景などもわかるのですがそれよりもやはりアジテーションすなわち宣伝がうまいということもあったのでしょう。ドイツの置かれていた状況も大きな影響を与えたと思います。2015/12/26
Tomoichi
25
1977年に書かれた本だが今でも読まれているのはやはりヒトラーについての決定版といっても良いのだろう。改めてヒトラーは突然変異ではなくドイツの歴史の中から出現した事がわかる。戦争には「負けっぷり」も重要なのだとつくづく思った。2023/10/09
浅香山三郎
15
読んだのは、2000年の27刷。1977年の本だから、ロングセラーといふべきで、堅い文体だが内容は古びてゐない。ヒトラーとナチスの台頭していくドイツにおける素地から説き始めて、ヒトラーの生ひ立ち、演説・宣伝の巧妙さなど、ぢわぢわと社会がナチス的なものに彩られていく過程がわかる。もともと、少し後に読んだ『ヒトラー演説』の序でに買つてみたのだが、読んでおいて良かつた。2018/08/11
HANA
11
ヒトラーというより彼が出現した時代背景について論じられたもの。ドイツの全体主義的傾向と当時の国家主義、反ユダヤ主義について主に論じられており非常に読み応えがあった。これを読むとナチズムは西洋の政治的流れの果てであったということがよくわかる。神秘的な潮流については『聖別された肉体』に詳しかったので、両者とも読めばこの時代についてはある程度わかるのではないかと思った。2011/11/13
Shun
8
ヒトラーに影響を与えた人物ルエガー、シェーネラーの紹介から始まる。ヒトラーの生涯、ドイツの政治概況について記述。祖父がユダヤ人、売れない画家、貧困な家庭、根からの狂人といった話について、証言や記録を元に虚構であり、彼に対するイメージは殆ど戦後のプロバガンダで創られたもの許りだとする。如何にして政治を行い、議席を獲得、オーストリア併合したかといった背景を把握せずにイメージだけでファシズムや平和は語れないと痛感した。戦前ドイツ史といった基礎知識の欠如で読むのに時間が掛かる上、消化不良も。再読したい。2013/05/18