内容説明
ポリーニ、アルゲリッチ、フジ子ヘミング…ラ・フォル・ジュルネから、サイトウ・キネンまで。華やかなステージの内と外から、ピアニストがとらえた、渾身の音楽祭見聞録。
目次
ポリーニ―完全無欠のピアニストが歌を歌うまで
唯一無二の時間を求めて―第五回別府アルゲリッチ音楽祭見聞録
内田光子―持続のエクスタシー
闘う音楽家―ダニエル・バレンボイム
女性作曲家音楽祭二〇〇七―レポート
アルカン生誕二〇〇年記念コンサート―レポート
進化するフジ子ヘミング
ラ・フォル・ジュルネ「熱狂の日」音楽祭二〇〇七―レポート
ラ・フォル・ジュルネに出演してみたら
サイトウ・キネン・フェスティバル―ジャズ勉強会
著者等紹介
青柳いづみこ［アオヤギイズミコ］
ピアニスト・文筆家。安川加壽子、ピエール・バルビゼの両氏に師事。フランス国立マルセイユ音楽院首席卒業。東京芸術大学大学院博士課程修了。１９９０年、文化庁芸術祭賞受賞。演奏と執筆を両立させ、『翼のはえた指評伝安川加壽子』で吉田秀和賞、『青柳瑞穂の生涯』で日本エッセイスト・クラブ賞、『六本指のゴルトベルク』で講談社エッセイ賞、『ロマンティック・ドビュッシー』でミュージックペンクラブ賞を受賞。大阪音楽大学教授、日本ショパン協会理事（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨハネス
6
読友さんレビューで知りました。音楽好きな人なら、読んでいてメロディが次々と頭に浮かんでくる的確な例えがうれしいですね。乙女の祈りの「虹色の」トリルを再現したくて弾いてみたけど虹色にならなかった(笑)表現力があってもテクがないとダメなのはフィギュアスケートと逆ですね確かに。コンサートを聴きながら大量にメモするそうだけど、確かに隣にいたら迷惑だ。因果な職業ですね。控えてくださいと言った人、青柳さんだと知ったら驚くだろうな。女性作曲家が消える理由が、ほかの職業と全く同じなのが切ない。2018/02/23
スリカータ
3
フジコ・ヘミングの章が面白かった。一度だけコンサートに行ったことがあるが、弟が商売気たっぷりにフジコの描いた絵を売っていたり、サクラっぽいブラボーを叫んでいて、彼はマイナス要因になるのでは？と思ったものだが、青柳さんのリポートにも相変わらずの弟さんの様子に苦笑してしまった。バレンボイム公演の悪意ある拍手や気まぐれ過ぎる巨匠アルゲリッチ、生きている内に生演奏を聴きたい内田光子氏など、読みどころは多かった。2017/09/17
プレミアムモルツ
3
図書館の新刊棚の中、本書が目に飛び込んできた。それで借りたのだが、失敗だった。クラシックを知らないので、さっぱり分らないのだ。印象に残った3点を記す。①ピアノの世界では、部外者が思っている以上にテクニックの占める割合が多いとの指摘。②ピアニストかつ吉田秀和賞受賞の批評家であれば、少なくとも国内のクラシック・コンサートには出入り自由、招待状も一杯届くのかと思ったら・・・。気の毒。③フジ子へミングに対しての論評。例えば、「クラシックのピアノ界では異端かもしれないが、彼女の音楽は決して異端ではない。」との記述。2014/06/06
横丁の隠居
1
評論家が音楽について書いたものなんか読む気もしないが、演奏家が書いているものは、特に青柳さんが書いているのであれば…これだけ真剣に聞き込んでそれなりのことを言うのは大変だ。ご自身の演奏の経験を踏まえての評言であるから上滑りすることがない、というのも月並みだが。フジ子ヘミングさんに割いた一章が面白い。青柳さんは褒めるべきは褒めるが、ダメなところは容赦なく指摘する。確かに「クラシックの演奏家とは違う」が「人気を維持しているということについて、クラシック音楽関係者は考えてみる必要があるだろう」と結ぶ。2017/07/05
introduction
0
個人的に彼女の作品はエッセイの方が面白いなあと思った。 でも、普段覗けない部分をこうして読めるのも楽しい。
