内容説明
自作をもとに作曲の秘密を語る「夢と数」、世界の作曲家たちとの対話「歌の翼、言葉の杖」、著作集初収録のエッセイとプログラム・ノーツ、最新の年譜、詳細な作品表とディスコグラフィー。多彩な魅力あふれる最終巻。
目次
夢と数―音楽の語法
歌の翼、言葉の杖―武満徹対談集
単行本未収録作品
プログラム・ノーツ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
毒モナカジャンボ
0
宇宙の卵(ユニヴァーサル・エッグ)という未来の普遍性を孵すため、世界の多様な地域にある特殊性のもとで然るべき時間をかけて卵を温めるべきだという、芸術的アナーキストと各国の音楽家との対談が面白い。ペレストロイカが始まった頃のソビエトからやってきたシチェドリンとの対話において、武満が持つ共産主義への理想主義的な立ち位置と現実の共産主義社会の暗部を骨身に染みて知ったシチェドリンとの対照が良い。リゲティとの間での比較言語学の会話を見ていると、武満が自分で言うように乱読家であったのだろうと思える。しかし言葉が強い。2020/12/02