内容説明
思わず笑いがこぼれる話から、目頭を熱くする話まで。貴族や武士、庶民が素顔をのぞかせ繰り広げる逸話を満載。人生の裏町を歩くがごとき興味の尽きぬ説話集。創立80年記念出版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月音
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「偸盗」「怪異・変化」「魚虫禽獣」など、軽めの説話が多く上巻より読みやすい。編者は雅やかな宮廷社会にあこがれていたようだが、しかつめらしく公事を語るよりも『今昔物語集』に通じる明るさ、おおらかさのある話の方がやはり楽しく親しみやすい。コレクションを自慢したい後白河院に塩対応の源頼朝、蹴鞠しながらバク宙をキメる(!)大納言、家財すべてを盗まれて検非違使を呼ばずに篳篥ふいてた源博雅の話など、こうした説話がいつの時代も創作家を刺激し、歴史・エンタメ作品をより豊かなものにするのだろう。2023/02/18