内容説明
「日本建築とはいったい何か?」。1960年代にキャリアをスタートし、現代にいたるまで、半世紀にわたり世界の建築の最前線で活躍しながら、鋭い切り口の建築/文化批評を行なってきた建築家・磯崎新が、いまあらためて「日本建築」について語りなおす。古代から20世紀までの数多の名建築のなかから自ら選んだ12の「建築遺産」をとりあげ、「垂直の構築」と「水平の構築」という日本建築の二つの流れからその歴史を読みかえる。刺激的でまったくあたらしい、イソザキ流「日本建築史」のはじまりです。
目次
はじめに 「柱」と「架構」から日本建築史を読みかえる
1 神を感知するために
2 「柱」原理主義
3 のびゆく内部空間
4 二つのフリースタイル
5 テーマパークの近世
6 20世紀日本建築の到達点
おわりに 「やつし」の美学をめぐって
著者等紹介
磯崎新[イソザキアラタ]
建築家。1931年大分県生れ。東京大学工学部建築学科卒業。丹下健三研究室を経て1963年磯崎新アトリエ設立。代表作に「大分県立中央図書館」「ロサンゼルス現代美術館」「なら100年会館」「カタール国立コンベンションセンター」など。カリフォルニア大学、ハーバード大学ほかで客員教授を歴任、また多くの国際コンペ審査員をつとめる。国内外での設計活動の傍ら、建築批評を始めさまざまな領域で執筆/発言を行うほか、建築展・美術展など多彩な活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ユウユウ
40
写真を眺めた程度ですが。日本美術はとても好きなのですが、建築となると急に漂う理系の雰囲気に臆しがちで 文章は今回は斜め読み。それでもあの神社仏閣に満ちている空気感はまた味わいに行きたくなりました。2018/03/27
ぶんこ
40
素人には難しい文が多く、まず写真で心惹かれた建物の説明を読む事にしました。 難しいとはいっても専門家にしか解らないだろうといった堅苦しさは無く、読み易かったです。 つくづく日本の建物の美しさを再認識させられました。 大好きな「陰影礼讃」の精神と、何も無い美しさ。 特に修学院離宮の隣雲亭の「全く壁の無い状態で自然の中に住まう感覚」といった借景を愛で、障子を大きく開け放した写真は素晴らしかったです。 コルビジェは、日本の「侘び寂び」の精神は理解できなかったようで、みすぼらしいと思っていたようだとの事。残念。2015/09/25
ビイーン
30
古代・中世の「出雲大社」の本殿は48mの高さがあったという。現存の2倍の高さである。柱は杉の丸太を3本金輪で束ね、それを9本建てていた。重心の高い建物にもかかわらず柱間の水平材は無いから相当揺れたようだ。平安から鎌倉時代にかけて6~7回も倒壊しているという。不備があってもその巨大な建築に挑む人達は凄かった。また会津にある「さざえ堂」にも驚嘆する。階段は無く、のぼりくだりがひと繋がりのスロープで動線が一度も交わらない。当時の技術者達は相当悩んだことだろう。これを完成させたのだから技術力の高さに驚嘆する。2018/09/08
鯖
13
出雲大社の48mもの社殿は木でできた古代のピラミッド的なものだったんだろうか。1248年の遺構でさえ、3本の杉の大木を鉄で束ね、柱の直径は3mを超えるらしい。一番面白かったのは三仏寺の投入堂。建築現場でいうところの「逃げ」というやり方で作られた偶然の産物。柱をつっこんで、揺れるから補強して、また板を突っ込んでの繰り返し。「詠み人知らずの名建築」という言葉が印象的だった。でもホントよく1100年ももってるよなあ。こないだの地震も乗り越えてくれて、ホントすごい。この目で一度見てみたい。2018/07/18
遠い日
11
「建築」という概念が日本にはもともとなかったというところから出発する、日本の建築史の見直し。門外漢にはわからないところもたくさんありましたが、取り上げられた12の建築物を「垂直」と「水平」で語ること、新鮮でした。さざえ堂の不思議な形、くらりとします。2018/01/18
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