内容説明
父ウィリアムは教会のオルガニスト。体じゅうにバッハやヘンデルの楽譜を彫りこんだ刺青コレクターでもあり、弾き応えのあるオルガンと腕のいい彫師に吸い寄せられるように、北欧の港町を転々としていた。母アリスは、幼いジャックの手をひいて、逃げたウィリアムの後を追う。コペンハーゲン、ストックホルム、オスロ、ヘルシンキ、アムステルダム…。街々の教会信徒と刺青師のネットワークに助けられ、二人は旅をつづけるが、ついに断念。トロントに落ち着く。父を知らないジャックは、「女の子なら安心」という母の信念のもと元女子校に入学し、年上の女たちを(心ならずも)幻惑しながら大きくなってゆく―。現代アメリカ文学最強のストーリーテラーによる怒涛の大長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
20
オルガン弾き、全身に楽譜の刺青を入れ、若い女が大好きという男。刺青師の女。二人の間に生まれた主人公。この主人公は、女装をして舞台に立つことを生業にする。下巻の要約を見ると、主人公の父親探しの物語であるらしい。でも、上巻で語られるのは、主人公と年上女性との出会いの物語。とにかく、つぎつぎに女性が出現するので目が回ってしまう。主人公は、女性遍歴をしながら、映画俳優として地位を確立したというところまでが、上巻のストーリー。はてさてアーヴィングさんはどんな結末を用意しているのか。私の心は、期待でドキドキしている。2020/10/02
ぺぺらって
3
やっと上巻が読み終わったー。ぎっしりすぎる。幼少時代、刺青師の母、お嬢アリスと父をおっかけるヨーロッパの旅は楽しく読めてた。うん、アリスの物語がちらほらしてて面白い。でも、父を追っかける旅が終わり主人公が学校に通いだしてからなぜかもてまくる、というかセクハラされまくるのでうーんうーんいいのかいいのかと思いながら読んでた。うーんうーん。下巻につづく。2012/04/27
s_n
2
やっと上巻読了。他の作品に寄り道して1か月ぶりに読み始めたが、母子でヨーロッパを旅するI部があまりに面白かったので、その後の学校生活のあたりはやや冗長。ただ、この手の長編にありがちな後半からの盛り上がりを期待したらどんどんアーヴィングのいつものストーリーテリングに引き込まれた。晩年に差し掛かり集大成っぽさがあるか?2017/10/09
mak2014
2
文庫になったら読もうと思っていたら9年経ってしまいやっとハードカバーで読みました。『ガープの世界』の変奏曲とも言える作品。描写がくどい場面もあるが、物語に引っ張られ長さを感じさせない。さすがアーヴィング。2016/07/31
きみ
1
ジャックの子供時代がすごかった。ちょっと読んでてつらかったです。でもまだ半分。俳優になってからどうなっていくのか、先の展開が楽しみです。2014/01/21