銀齢の果て

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  • サイズ B6判/ページ数 239p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103145288
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

増大した老齢人口調節のため、厚生労働省は70歳以上の国民に殺戮合戦を命じた。長生きは悪なのか?恐怖と狡知、愛と笑いが炸裂する、老人文学の金字塔!

内容説明

和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住む宮脇町でも「老人相互処刑制度」が始まった。町内には、もと自衛官、神父、もとプロレスラー、そして幼なじみなど、「強敵」五十数人が犇めいている!21世紀最大の、禁断の問いをめぐる筒井文学の新たな代表作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケンイチミズバ

111
バトルロワイアル。最後の一人まで闘う。初めは多勢なので目配せなど合図しタッグを組み効率よく潰します。真っ先にターゲットになるのは一番強そうな者。羊がよってたかって一匹のライオンを倒すような?ただし、プロレスではなく現代の楢山節考。町内で高齢者が殺し合い、生きのびた一人が余生を許される。余りに不謹慎でおすすめしません。筒井先生らしくお下劣な笑いも。問答無用な感じが国王と同じ苗字が増え過ぎて気に食わないから佐藤さんを捕まえては処刑する作品にも似てるし町内単位のバトルは三崎亜記さんのとなり町戦争も思い出します。2020/05/21

優希

89
高齢化社会に喧嘩を売ってるのかと思わされます。老人が増加していく社会において、政府が導入した「老人相互処刑制度」。70歳以上の老人が殺しあうバトルロワイアルといったところでしょうか。凄惨でグロテスクな描写は多々ながらも、コメディに仕上げているのが流石筒井サンといったところでしょうか。本人が70を過ぎて書き上げた作品というのだから、かなり確信犯的作品ではありますね。老人社会を憂うというより、悪的なものとして徹底して描いたのは逆に愉快犯としか言えないかもしれません。ちょっとやりすぎ感はありますけどね。2016/09/08

HANA

59
老人版バトルロワイヤル。と一言で言える内容なんだけど、この内容を膨らませて長編一冊にしてしまう著者の力量が凄い。登場人物のほとんどが七十歳以上で、その彼らが互いに殺し合うストーリーなんだけど、奇妙な事に陰惨さが全く無い。本書のほとんどが殺し合うシーンなんだけどなあ、どのシーンにもからっとした奇妙な明るさみたいなものが付いて回っているのである。たまに黒い笑いが出る時も。ラストもやっぱりか。と予想は付くものの、やはりそこにも筒井節が鳴り響いている。凄いのが著者ご本人が七十歳以上になってからこれを書いた所か。2017/05/26

とも

42
★★★最初から最後までつまらなかった。未来の増えた老人をどうするか、という小説は山ほどある。その中で、殺してしまうという選択肢を持った作品も少なくない。その中で筒井の選択は殺し合いをさせる、というものでもしや昔のエログロナンセンス、その中にも高度のブラックユーモアが含んだ作品が復活するかと期待したが、悲しいかな単なる殺し合いで特にユーモアが全くない作品となっており、心から残念な結果。2015/10/03

ホレイシア

10
何とも筒井康隆である。懐かしいぐらいの筒井節で語られる老人問題。同じテーマを扱ったものに久坂部羊の「廃用身」や「破裂」があるが、表現の違いはあれ訴えていることは同じ、あとは好みの問題だ。我等が優秀な官僚方もさすがにこの方法は取り入れられないだろうから、怖いのは久坂部案のほうだね、やっぱり。2009/08/18

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