内容説明
失業、戦争、身近な人の死。誰の身にも起こりえる、だが決して「普通」ではない瞬間。少女の日のできごと、戦時中の父との逸話、奇怪な夢と現実の符合。深刻だったり、たわいもなかったり、茫然とするほどの暗合に満ちていたり―無名の人々が記憶のなかに温めていた「実話」だけが持つ確かな手触りを、編者オースターが丁寧に掬いとる。無数の物語を編み上げた、胸を打つアメリカの声。
目次
見知らぬ隣人(承前)(ブルックリン・ロバーツ;二人部屋、一泊一三八〇ドル也 ほか)
戦争(北軍一の俊足;一八六二年のクリスマス ほか)
愛(もしも;トルテリーニの神秘 ほか)
死(遺灰;ハリスバーグ ほか)
夢(午前四時五分;深夜の出来事 ほか)
瞑想(裁縫レッスン;日曜日のドライブ ほか)
著者等紹介
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年生まれ。東京大学文学部教授。現代アメリカ文学専攻。『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
225
1,2巻を通読しての感想は、あたりまえのこととはいえ、とにかくアメリカは広いということだ。東西南北に広大な国土があり、紀行・風土といった地理的条件も、社会階層などの文化的環境も随分と幅広い。それぞれのお話の最後に語った人の名前と現在住んでいるところが記されているが、カリフォルニア州バークリーのように比較的なじみ深いところもあるが、中にはモンタナ州グレートフォールズなどと、とんでもない田舎なんだろうとしか想像のつかない所もある。それは多くのアメリカ人にとっても、やはりそうなのではないだろうか。2015/05/09
ケイ
123
柴田元幸氏がポール・オースター氏ら作家たちにインタビューした本を読んだ時、このナショナルストーリープロジェクトを知り、とても気になった。9.11後になにかをしなければという気持ち。全国から集められた話は、オースター氏にラジオで紹介された。本当に全くアメリカ的なお話しの集まりだ。こういうストーリー達が必要だったのだと感じいる。2019/12/25
ゆのん
73
ラジオ番組で募集した短くて真実の話。奇跡としか思えない様な話が沢山あって鳥肌が立ってしまう。作家ではない一般の人々の書いたものなので文章自体は読みにくいものもあるし、これといったオチの無いものもあるが、全ての話がとても良かった。どんな人にもその人の物語がある。私の一番の物語は何だろうと考えてしまう。972020/04/18
hiro
70
小川洋子さん、平松洋子さんの『洋子さんの本棚』を読み、この本を知ってⅠに続けてこのⅡを読んだ。Ⅰでも感じたが、Ⅱでは「戦争」の章もあり、南北戦争から第1・2次世界大戦、ベトナム戦争と戦争の話が多く、やはりアメリカという国は、戦争を続けてきた国だとあらためて感じた。また、犯罪に巻き込まれた話も多く、これもアメリカ社会の現実だと知ることができた。一般アメリカ市民の実話を集めたこの本を読むことで、アメリカという国の一端を知ることができ、いい本に出合えたと思う。2015/05/16
Lara
59
ナショナルストーリープロジェクト1の続編。小説ではない、事実が元の話だけに、響いて来る話が多かった。信じられないような、奇跡的な話は、感動的だった。2020/06/07