出版社内容情報
「乳房切除手術」への圧倒的福音となったノンフィクション。感動の治療に寄せられる愛と祈り。
「おっぱい、つくってあげようか」それが形成外科の夫の、乳がん宣告の言葉だった。当時まだ珍しかった「乳房再建手術」は、乳房を切除した胸部に腹部の脂肪を移動させて新しい乳房を造る大手術だった。夫は、「へたに造ったら、お前が一緒にお風呂に入ってくれなくなるから、うまーく造るよ、心配ないよ」とにこにこして言った……。2時間ドラマとしてテレビでも放映された、迫真の闘病記であり、愛と感動の夫婦愛の物語でもある。
内容説明
子供をプールに入れるために水着に着替えていて、胸のしこりに気がついた。三十三歳だった。「おっぱい、つくってあげようか」それが形成外科医の夫の、乳がん宣告の言葉だった。当時まだ珍しかった「乳房再建術」。片方の乳房を切除し、腹部の脂肪を移植して、新しい乳房を造る大手術である。「下手に造ったら、お前が一緒にお風呂に入ってくれなくなるから、うまーく造るよ、心配ないよ」夫はにこにこして言った…。患者と主治医、そして夫と妻という関係を通して、乳がん患者のクオリティ・オブ・ライフの問題を投げかける感動の闘病体験記。
目次
1章 「乳房、取ることになったよ」―しこり
2章 「手術室で会おうね」―入院
3章 「おっぱい、いいの、造ったよ」―術後
4章 「使わないから、痛いんだ」―リハビリ
5章 「甘えてんだよ」―退院
6章 「幸せに逝かしてやろうぜ」―母の胃がん
7章 「有刺鉄線で絞められるか?」―母の死
8章 「お前、温泉にはいれる?」―七年後
9章 「乳房再建手術は健康保険が効かないんだ」―克服
10章 「主人が造った乳房です」―予感
11章 「形成外科医の妻として」―あとがきにかえて
付記 乳房再建手術を受けた妻から形成外科医の夫への二十三の質問―乳房再建の現状と今後