出星前夜

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  • サイズ B6判/ページ数 541p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093862073
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

歴史小説の巨人、前作『黄金旅風』から4年ぶりの力作巨編!
舞台は肥前長崎から島原へ。三代将軍・家光の時代、前作の愚昧な藩主らの苛政にあえぎ、民衆が最後の矜持(きょうじ)を守るため破滅への道をたどらざるを得なかった「島原の乱」の実相を活写する。 人物は、秀吉の朝鮮出兵の際に有馬晴信軍の一将として勇名を馳せた鬼塚監物(おにづかけんもつ)、そして乱勃発の際、若衆らを統べ藩主に叛旗をひるがえした青年・矢矩鍬之介(やのりしゅうのすけ)、折しも半島を襲った伝染病に立ち向かった医師・外崎恵舟(とのざきけいしゅう)、そして『黄金旅風』の主人公・長崎代官末次平左衛門(すえつぐへいざえもん)が登場する。 幕藩体制に抗う誇り高き海民・土豪らの絶望的な闘い。しかし、その中から一閃の光を放つように、後に名医として世に知られるようになる一人の若者が現れる。

★キノベス2008 堂々の第一位!
(キノベス=紀伊國屋書店スタッフが自分で読んでみて面白いと思った本30冊)

「書いてくれてありがとう。そんな気持ちになれる作家はあまりいない。飯嶋和一はそう思わせてくれる数少ない作家の一人だ。4年ぶりの新作のテーマは「島原の乱」。誰もが一度は耳にした変えられぬ史実から、飯嶋氏はいつも新たな事実を教えてくれる。一作読むと虜になることまちがいなし。ぜひ仲間になってほしい。」
【松倉桑子/名古屋名鉄店】

「『黄金旅風』から4年、待ち焦がれた新刊の重さはなんと600グラム!島原の乱をテーマに権力者たちの愚劣ぶりを痛烈に描くが、叛乱軍を美化せず、その崩壊を緻密にたどりながら、ドロップアウトした寿安に希望を託すところがすばらしい。重さ以上に充実の大傑作!」
【星真一/梅田本店第二課】

内容説明

すべての民にとって不満のない世などありえない。しかし、民を死に追いやる政事のどこに正義があるというのか。寛永十四年陰暦七月、二十年にも及ぶ藩政の理不尽に耐え続けた島原の民衆は、最後の矜持を守るため破滅への道をたどり始めた。

著者等紹介

飯嶋和一[イイジマカズイチ]
1952年、山形県生まれ。1983年「プロミスト・ランド」で小説現代新人賞、88年「汝ふたたび故郷へ帰れず」で文藝賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

76
島原の乱について何も知らなかったのだな、私は。天草四郎が率いたキリシタン弾圧に対する蜂起ではなかったのか。島原南の有家の地で、19歳の混血の若者ジュアンが死を覚悟して立て籠ったところから始まる。過酷すぎる年貢に干魃が加わると、民は飢え、子供は病に倒れ死んでいく。そこがキリシタンの地であったことから、棄教した者も再び信仰を新たにし殉教する覚悟で蜂起。庄屋達も立ち上がり、蜂起軍は五万近くになり、大名軍にほぼ同数の犠牲を出させる。天草四郎は結局、便乗しただけで大した活躍もしていなかったのに驚いた。2014/02/08

NAO

54
「島原の乱」を描いた作品。だが、主人公は、天草四郎ではない。この作品は、なぜ「島原の乱」が起こってしまったのかを徹底的に検証している。このような状況にあっては誰もがこうせざるを得なかったであろうと思わずにはいられない当時の悪政。それが、この作品の主たるモチーフだ。中央のいい加減な支配体制。自分たちは贅の限りを尽くしていて、庶民の現状をまるで把握できていない支配層。いったん事が起こると、彼らは全く冷静な対処ができない。彼らと真剣に世を憂いている若者との差はあまりにも大きくて、あまりにも嘆かわしい。2016/08/24

藤枝梅安

47
「島原の乱」を通して、いつの世にも共通する施政者と民衆の決して交わることのない利害を冷徹に描き、読者に「君ならどう動くのか?」という現実の問題として突きつけてくる。「面白かった」とか「感動した」という言葉では足りない重い読後感。飯嶋さんの小説は「読み飛ばし」を許さない厳しさがあり、それが快感でもある。「神無き月十番目の夜」を思い起こさせる「皆殺し」を題材とした小説である。「黄金旅風」に出てきた長崎代官・末次平左衛門が出てくる。題材はいわゆる「島原の乱」である。2010/12/25

たか

44
長かった!しかも歴史小説特有の読みにくさに思わぬ苦戦をした。 しかし、その内容はなかなか興味深い。『島原の乱』と言えば、美形のクリスチャン天草四郎時貞や彼が行った奇跡を思い浮べますが、本書では彼は脇役に徹している。 それに代わり、村の庄屋や若者たち、そしてキリスト教迫害と重税に苦しむ農民たちを主人公とすることで、天草四郎の『島原の乱』ではなく、民衆たちの『島原の乱』にしている。 本書は、歴史の見方を変える本であり、生命とは何かを問う本でもある。C評価2018/01/25

ちはや@灯れ松明の火

38
人として人らしく生きていくために必要なのは精神の死か肉体の死か、突きつけられた選択肢。心を売り渡し生命を購ってもいずれ吹き荒れる貧困の中徐々に擦り切れて朽ちてゆくのなら、他の何を失くしても譲れぬ矜持を抱えたままこの星を出よう。歴史を記す書物にはむしろその行間に多くの真実が眠る。キリシタンの反乱の一言では言い尽くせない天災人災の生んだ禍根に耐えかねた人々の生き様も其処に在る。あの日、数万の星が流れた。見る者によって禍々しくも神々しくもある光芒を放って。2009/09/11

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