終わらざる夏〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 467p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087713466
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

玉音放送後に起きた「知られざる」戦い。
妻と息子と、アメリカへ移住する夢を抱いていた片岡に赤紙が届いた――。片岡とその家族の物語を軸に、日本とソ連の兵士達や市民など重層的な視点で、戦争の理不尽と生きる意味を問う渾身の作。

内容説明

第二次大戦末期。「届くはずのない」赤紙が、彼を北へと連れ去った―。北の孤島の「知られざる戦い」。あの戦いは何だったのか。着想から三十年、著者渾身の戦争文学。

著者等紹介

浅田次郎[アサダジロウ]
1951年、東京都出身。1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、それぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

184
「占守島の戦い」は池上司さんの「八月十五日の開戦」で知った。本作では大東亜戦争末期を幅広に捉えた一大叙事詩と言えようか。昭和20年7月に岩手出身の3人の男に召集令状が届く。彼等の向かう先は北千島の果て占守島。戦争末期の様々な苦しみと哀しみ、そして狂気が描かれる。拡大しすぎた戦線に追い付かない兵員、物資の補充。銃後の生活の苦しさ。国土の沖縄が陥落しても叫ぶ本土決戦の哀しさ。廣島に原爆が投下されても一億玉砕の声は止まない狂気。北辺のアイヌの歴史から明治政府の造った天皇制にも触れられる。反戦の声が詰まった作品。2018/01/13

zero1

130
8月15日に戦争は終わらない。玉音放送(終戦の詔勅)後、千島列島の北端にある占守島になぜ精鋭部隊が?なぜ戦闘が?そこには軍部の誤算と意味が。出版社勤務で英語に強い片岡は45歳という年齢から招集を免れたかに思えた。そこへ来た赤紙。届ける側はまるで悪魔の化身。片岡は米軍上陸を想定し通訳として島に呼ばれた。軍医の菊池と経験豊富な古参兵、運転要員の鬼熊こと富永も北の島へ向かう。戦争を描くが戦闘だけではない。それぞれの家族も浅田節で描く。日本人ならこの歴史を知るべき。再読なのに多くを考えさせられる。下巻に続く。2019/09/27

HIRO1970

121
⭐️⭐️⭐️浅田さんの長編。半分まで来ましたが毎度ながら驚く程、読ませるお話です。どれぐらいの手間暇と時間をかけて作られるのか分かりませんが、いざ執筆に至るまでの作戦遂行の為の準備に余念がないのは間違いなく、作品の類稀なる練度と完成度には常に揺るがない視点や史観が通念のように感じられます。この先どうなるのかまるで予想はつきませんが、何となく大きな感動を呼ぶような期待感があります。後半が楽しみです。2015/04/27

taiko

68
昭和20年夏、3人の男に召集令状が届く。 弘前で告げられた赴任先は千島列島の国境の島占守島だった。 著者の戦争小説にハマり、3冊目。 召集される者を選出する所から、とても丁寧に、1人1人の物語が語られています。 なので、上巻では島に向かうところまで。 占守島の戦いについては、まるで知識のないままです。 役者は揃いました。 下巻に進みます。2017/10/26

クリママ

67
軍事動員の常識をはるかに超える本土決戦のための動員。その中には、秘密裏ながら、降伏を見据えた通訳が入っている。翻訳の仕事をする出版社勤務の45歳の会社員、医専から帝大医学部へ進んだ医師、金鵄勲章をもらった軍曹、占守島に送られる3人を中心に、その家族の状況や心情が細やかに描かれる。動員作業、今まで築き上げてきたものをすべて捨なければならなこと、夫、息子を送り出すこと、哀しみにも慣れがあるのだろうか。繰り返される大本営への批判、大きな声で言えなかったことは、その頃の人たちの心の中にあったことだろうか。 2018/08/03

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