集英社新書
お産の歴史

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  • サイズ 新書判/ページ数 237p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201390
  • NDC分類 385.2
  • Cコード C0221

内容説明

出産の歴史は人類の歴史とともにある。わが国では縄文時代中期の出産の様子を示すと思われる土偶も、いくつか発掘されている。そうした太古の時代から二一世紀を迎えた今日まで、出産を取り巻く状況は大きく変化してきた。七世紀から八世紀にかけ中国の医学、医術がもたらされ、一七世紀、西洋医学が取り入れられ、独自の出産文化を生み出してきたのだ。本書は医学史的見地から、さまざまな文献史料を参照し、日本人の出産の歴史を辿る。

目次

ヒトとサルの出産
縄文・弥生時代
古墳時代
飛鳥・奈良時代
平安時代
鎌倉時代
室町時代/戦国・織豊時代
産科習俗
江戸時代前期
江戸時代中期
江戸時代後期
近代の出産
現代の出産

著者等紹介

杉立義一[スギタツヨシカズ]
1923年兵庫県生まれ。京都大学医学専門部卒。京都府立医科大学研究科修了。医学博士。産科医院開業の傍ら医学史を研究。日本医史学会常任理事、アメリカ医史学会会員。80年『京都の医学史』(共著、思文閣出版)により毎日出版文化賞特別賞、91年日本医師会最高優功賞、日本医史学会矢数医史学賞を受賞
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

SOHSA

27
出産という現象が母子共にいかに危険を伴うものであるのかが、あらためて理解できた。それとともに生命の大切さ、この世に生まれてくることの僥倖さを痛感した。しかし、人間はなぜこれほどまでに出産が容易ではないのだろうか。他の動物は基本的に他者の介助を要せず、ひとりで出産するのに、人間はなぜひとりで出産することが難儀であるのだろうか。人間という生物の不可解さがここにも見て取れる。2014/01/19

阿呆った(旧・ことうら)

19
◆日本におけるお産にまつわる歴史。◆死や血と深く関わりのあるお産は『白不浄』として『忌』とされていた。不浄観は、神道・仏教・儒教が習合して形成された。◆器具で死胎を除去できるようになったのは江戸中期。帝王切開が始まったのは江戸後期。それまでは対処ができず、母子の死亡率は高かった。(平安時代の栄花物語では死亡率は23.4パーセント。母4〜5人に1人は死亡していた)◆死んでいった母子と産科にかかわる医者・研究者の努力の賜物で、現在は母子の死亡率が低くなっている。2017/03/20

おMP夫人

13
タイトルどおり、古来より日本ではどのように出産がおこなわれていたかがわかる本です。豊富な史料が残されている江戸期の章では、より具体的にその姿を浮かび上がらせています。実際の出産時には役に立たないかもしれませんが、妊娠中の奥様を持つ男性は読んでおくべきかと思います。また、難産で生まれてきたくせに言うことを聞かない年頃のお子様を持つ親御さんは、この本を読ませて少しビビらせてあげましょう。2012/03/19

びっぐすとん

12
昔のお産が気になって読んだ。昔は時代劇でよく見るような上から垂らした綱にしがみついての座産やよつん這いになっての出産など、自分の産みやすい体勢をとっていて、今の仰産は医者が様子を見るのに都合が良いらしい。もっとも綱を握った出産もよつん這いも経験がないのでわからないが。平安時代などひ弱そうな女の人に後ろから抱えられてのお産なんて、力が入ったのだろうか?寝たらいけないとか今なら産婦虐待でしかない。こんなリスキーで大変な思いを何度もした当時の女性はすごいな。お産は病気じゃないとか放言する奴は許さない。

多津子

8
産婦人科医である著者による、縄文時代の土偶や数々の文献から日本のお産の歴史をまとめたもの。中国や西洋からもたらされた知識と技術により変化していくのは他の歴史と変わらない。出産方法から産屋などの出産場所、医者と産婆の関係などお産に焦点を当てる歴史は読みごたえがあった。2022/01/09

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