出版社内容情報
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約100ページで教養をイッキ読み!
現代新書の新シリーズ「現代新書100(ハンドレッド)」刊行開始!!
1:それは、どんな思想なのか(概論)
2:なぜ、その思想が生まれたのか(時代背景)
3:なぜ、その思想が今こそ読まれるべきなのか(現在への応用)
テーマを上記の3点に絞り、本文100ページ+αでコンパクトにまとめた、
「一気に読める教養新書」です!
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経済学者・宇沢弘文は、半世紀も先取りして、行き過ぎた市場原理主義を是正するための、新たな経済学づくりに挑んだ。すべての人々の人間的尊厳が守られ、魂の自立が保たれ、市民的権利が最大限に享受できる。そのような社会を支える経済体制を実現するため、「社会的共通資本の経済学」を構築した。
この小著では、経済学の専門的な話はできるだけ避け、宇沢が「社会的共通資本」という概念をつくりだした経緯や思想的な背景に焦点をあててみたい。宇沢が環境問題の研究を始めたのは半世紀も前であり、地球温暖化の問題に取り組んだのは30年あまり前からだった。先見の明というより、問題を見定める際の明確な基準、つまり、思想があったからこそ、これほど早く問題の所在に気づくことができたのである。
ロシアがウクライナに侵略して戦争が始まったとき、欧州のある金融機関が、武器を製造する企業への投資をESG投資に分類し直すという動きがあった。ふつう、ESG投資家は人道主義の観点から、軍需産業への投資には抑制的だ。しかし、アメリカなどがウクライナに武器を供与する現実を目の当たりにして、「防衛産業への投資は民主主義や人権を守るうえで重要である」と態度を豹変させたのである。
ESGやSDGsに先駆けて「持続可能な社会」の条件を探求した宇沢なら、このようなESG投資を認めることは絶対にあり得ない。思想が許さないからだ。「ステークホルダー資本主義」「ESG投資」「SDGs」を叫んでみたところで、一本筋の通った思想がなければ、結局は換骨奪胎され、より歪な形で市場原理主義に回収されてしまうのがオチだ。
資本主義見直しの潮流が始まった直後、世界はコロナ・パンデミックに襲われ、ウクライナの戦争に直面した。危機に危機が折り重なって、社会は混沌の度を深めている。
宇沢の思想に共鳴するかしないかが問題なのではない。生涯にわたって資本主義を問いつづけた経済学者の思考の軌跡は、かならずや混沌から抜け出すヒントを与えるはずである。(はじめに より)
内容説明
不安定な資本主義の世界で万人が幸福になる道を探る。
目次
はじめに 「資本主義」という問い
第1章 生い立ち
第2章 行動科学の申し子
第3章 ベトナム戦争とアメリカ経済学
第4章 原点としての水俣病―自然と人間の経済学へ
第5章 社会的共通資本とリベラリズム
終章 SHADOWの思想
著者等紹介
佐々木実[ササキミノル]
1966年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部を卒業後、1991年に日本経済新聞社に入社。1995年に退社し、フリーランスのジャーナリストとして活動中。2013年に出版した『市場と権力「改革」に憑かれた経済学者の肖像』(現・講談社文庫)で第45回大宅壮一ノンフィクション賞、第12回新潮ドキュメント賞をダブル受賞。宇沢弘文に師事し、彼の生涯を描いた『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』(小社刊)で第6回城山三郎賞、第19回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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