出版社内容情報
正解のない時代、そしてAIとの共存の時代。急速に状況が変化する時代。こうした時代こそ私たち個々の判断のベースになるのは、人類の知の集積であるリベラルアーツだ。独立研究家・山口周が、哲学・歴史・美術・宗教など知の達人たちと、リベラルアーツの力を探る。
内容説明
達人たちと掘り下げる人類の叡智。いままでの「正解」が通用しない時代を突破するヒント。
目次
第1章 リベラルアーツはなぜ必要なのか
第2章 歴史と感性―対談・中西輝政
第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に―対談・出口治明
第4章 グローバル社会を読み解くカギは「宗教」にあり―対談・橋爪大三郎
第5章 人としてどう生きるか―対談・平井正修
第6章 組織の不条理を超えるために―対談・菊澤研宗
第7章 ポストコロナ社会における普遍的な価値とは―対談・矢野和男
第8章 パンデミック後に訪れるもの―対談・ヤマザキマリ
終章 「武器」としてのリベラルアーツ
著者等紹介
山口周[ヤマグチシュウ]
独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。1970年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイティ
23
リベラルアーツの入門書におすすめ。出口治明や橋爪大三郎ら専門家たちとの対談だが、各々の分野で掘り下げつつも、まさに一般教養として興味深いお話ばかり。一番印象深かったのが、橋爪氏との宗教について。政治経済、社会、芸術など、近代化への発展は宗教が基盤となっていることがよく分かった。国民性や特性で片付けずに、なぜそうなったのかは説かれてきた教えがいかに影響しているか。「リベラルアーツを学ぶことは、自身のOSを上げること」というように、一歩深く踏み込んで、常識を疑い考察して考える大切さはライフワークにしたいです。2022/07/30
makio37
14
リベラルアーツとは「自分を縛る固定観念や無意識的な規範から自由になるための思考技術」。よく言われる「常識を疑う」態度でなく、「見送っていい常識」と「疑うべき常識」を見極める選球眼を与えてくれるもの、とある。対談集の良さは印象に残るキレのある言葉に多く出会えることにある。<エリートというのは本来、お手本を自分で考える存在><生きることは『世界経営計画のサブシステム』であるべき><リーダーの条件は、主観的に価値判断して、それに対する責任がとれるかどうか><創造性は人生における累積の移動距離に相関する>など。2021/11/14
奏市
13
山口さんの本は単にビジネス本という枠に収まらない生きていく上での学びになること多く、どれも読物としても面白い。今回は歴史、宗教、組織の専門家などリベラルアーツを重要視する8名との対談。歴史の中西さん、組織の菊澤さんとの話が特に勉強になった。イギリスの知恵「早く見つけ、遅く行動し、粘り強く主張し、潔く譲歩する」について中西さん「表面上、逆説的で、すべてを実践するためには自己の強い心理的コントロールが必要」だと。菊澤さん「損得と価値判断がずれたときの意思決定のあり方を学ぶ材料としてつらい恋愛は最適」面白い。2023/07/27
まゆまゆ
13
単に儲かるだけでよいというビジネスモデル、正しさや強さだけに基づいて生み出された事業やモノばかりが目につく現代社会において、教養こそが身につけるべき能力であることを説く内容。その道の第一人者との対談が読みごたえがある。損得問題で解けない問題があることに早く気づかないと、何でもコスパで考えてしまう人間になってしまう、との指摘にはドキッとさせられた。2021/07/08
ta_chanko
13
VUCAと呼ばれる先行き不透明な時代だからこそ、従来の常識にとらわれない思考・行動の土台となるリベラル・アーツが必要。リベラル・アーツとは、自由になるための技術。狭い組織の中、時代遅れの社会の中で上手く立ち回っても、それは過剰適応しているにすぎずない。境界をクロスオーバーし、もっと広い視野で物事を捉え、普遍的な価値観・美意識にもとづいて判断・行動する。組織内論理よりもリベラル・アーツにもとづいた直感を大切にする。イギリスの戦略・ダイバーシティ・宗教という基盤・禅の精神などから学ぶ。コロナ後はどんな世界に?2021/04/29