内容説明
曼荼羅世界こそが自己である―。「即身成仏」の四字に籠められた、空海の人間観・世界観とは?「日本仏教の最高峰」思想の核心に迫る。
目次
第1章 空海の生涯と著作
第2章 密教に至る仏教史―顕教から密教へ
第3章 仏教における「即身成仏」の思想史
第4章 空海の密教思想
第5章 空海の即身成仏思想
第6章 「即身成仏」の教証―『即身成仏義』を読む・一
第7章 六大無礙の真意―『即身成仏義』を読む・二
第8章 三密加持の実相―『即身成仏義』を読む・三
第9章 曼荼羅世界の風光―『即身成仏義』を読む・四
第10章 『即身成仏義』の本旨
著者等紹介
竹村牧男[タケムラマキオ]
1948年、東京都生まれ。東京大学文学部印度哲学・印度文学科卒業、同大学大学院人文科学研究科印度哲学専修博士課程中退。筑波大学、東洋大学で教授職を務める。現在は、東洋大学学長、筑波大学名誉教授。博士(文学)“東京大学”。専攻は仏教学、大乗仏教思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yutaro sata
29
空海の思想の核心は『即身成仏義』という書物にあるらしい。前半は空海の歩みや仏教の発展過程を丁寧に示してくれる。後半は『即身成仏義』の読解。正直に言えば、後半の読解部分はまだまだ全然理解していない。しかしそれは記述が難解に過ぎるというよりは、まだ概念や思想の固有の世界に対する私の馴染みの薄さがあると思われる。ちょぼちょぼと長く付き合っていくものであるのだろう。2023/05/26
えも
11
ふう、時間がかかった。しかも結局、密教が奥深い上に、天才・空海が奥深いものだから、表面的な理解しかできなかった。でも、密教独自の風景に触れることはできたかな? ▼空海の哲学思想の要諦は「即身成仏」にあるとして、前半で、空海の生涯や密教に至る仏教史などを概括した後、後半、空海著の「即身成仏義」を一言一句を丁寧に読み解く、つまり逐条解説を試みている。名著だと思う!▼今回は分かんなかったけど、仏教用語をしっかり確認しながらノートを取って読み込んでいけば、あるいは理解に近づけるかも▼いつの日か、やってみたい♪2020/09/10
taco
3
いつか理解できるときを楽しみにします。2020/09/18
鬱僧
3
最後まで一応目を通せた新書で最も難解だった。詰め込みすぎで倍のテキスト量が欲しい。メインの「即身成仏義」解読の準備のために、わずか3章140Pで仏教概説を押し込む。大角「大日経・金剛頂経」を経て、ちくま学芸文庫空海コレクションを読むための入門書のつもりで手に取ったが大誤算だった。入門書ではない。これが著者竹村の言う空海の世界の全て、空海の哲学なのだ。「『即身成仏義』の「即身成仏頌」が明かす「即身」とは、一貫して、相互に渉入するあらゆる他者を具している身であることこそ意味している」(P.312)に尽きる。2020/06/19
非実在の構想
3
前半は仏教史における空海の位置付け、後半は即身成仏義。衆生はすでに成仏している。2020/05/06