講談社現代新書<br> 作家という病

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講談社現代新書
作家という病

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  • サイズ 新書判/ページ数 320p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062883238
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0295

出版社内容情報

作家を作家たらしめる「過剰さ」とは何か。渡辺淳一、遠藤周作、井上ひさし、吉村昭……21名の作家の業(ごう)を秘話満載で描く。鬼、女帝、遅筆……。作家を作家たらしめる「過剰さ」とは何か。
全21人の作家の「業」(ごう)を秘話満載で描く。

●彼女の家の玄関チェーンを「ぶった切ってやる!」……渡辺淳一
●紫綬褒章を頑なに拒否した、意外にも肉食の人……城山三郎
●「すみません」を繰り返しながら原稿は遅れる……井上ひさし
●「ずいぶん儲けさせてやってるんやぜー」……遠藤周作
●賞品総額1千万円の福引が新年会の恒例行事……山村美紗

<本書の内容>
第一章 流浪の民
1 水上勉 風呂とめし 2 田中小実昌 カバンの中のカント 3 渡辺淳一 鈍感力と激しさと
第二章 硬骨の士
1 城山三郎 旗振らすな 2 結城昌治 心優しき正義漢 3 藤沢周平 内心の炎
第三章 二足の草鞋
1 伴野朗 朝日新聞記者 2 山口洋子 三冠王 3 久世光彦 倒れるような忙しさ
第四章 遅筆の理由
1 井上ひさし ひさしズム 2 都筑道夫 一人四役 3 綱淵謙錠 故郷喪失者の哀しみ
第五章 仕事をせんとや、遊びをせんとや
1 遠藤周作 仕事も遊びも 2 北原亞以子 なにくそが原動力 3 吉村昭 幸せだなあ
第六章 早すぎた旅立ち
1 山際淳司 スーパードライ 2 楢山芙二夫 岩手なまりのニューヨークのサムライ 3 多島斗志之 失踪
第七章 全身流行作家
1 黒岩重吾 作家という鬼 2 西村寿行 誰よりも犬を愛す 3 山村美紗 女帝の時代


「プロ作家が口を揃えて言うことだが、作家になるよりも、作家であり続けることのほうがはるかに大変だということである。作家であり続けるために、作家は自分の一部を過剰に肥大させるようになる。作家と呼ばれる人たちの「過剰さ」「内的エネルギーの膨大さ」それが、作家という病ということになるだろう」(本文より)

まえがき
第一章 流浪の民
第二章 硬骨の士
第三章 二足の草鞋
第四章 遅筆の理由
第五章 仕事をせんとや、遊びをせんとや
第六章 早すぎた旅立ち
第七章 全身流行作家
参考文献
あとがき


校條 剛[メンジョウ ツヨシ]
著・文・その他

内容説明

鬼、女帝、遅筆…作家を作家たらしめる「過剰さ」とは何か。全21人の作家の「業」を秘話満載で描く。

目次

第1章 流浪の民
第2章 硬骨の士
第3章 二足の草鞋
第4章 遅筆の理由
第5章 仕事をせんとや、遊びをせんとや
第6章 早すぎた旅立ち
第7章 全身流行作家

著者等紹介

校條剛[メンジョウツヨシ]
1950年、東京・荻窪生まれ。1973年、早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業と同時に新潮社入社。月刊雑誌「小説新潮」に二十九年間在籍、うち九年間は「小説新潮」編集長を務める。このあと「新潮新書」編集委員を経て、株式会社パブリッシングリンクに出向、コンテンツ開発部長。2010年新潮社を退職し、デジタル総合文藝誌「アレ!」編集長。新潮社在職中より、日本大学芸術学部文芸学科非常勤講師、朝日カルチャーセンター講師を務める。2014年4月より京都造形芸術大学文芸表現学科の教授・学科長に就任、現在に至る。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

44
編集者から見た作家の生態を描いた本は大村彦次郎が有名だが、あちらが純文学系が中心なのに対し元「小説新潮」編集長の手になる本書は大衆文学系が大部分。人間臭さでは断然後者だ。直木賞に頭を焼かれてしまった面々や、酒や遊びで失敗したエピソードは本当なのかと驚くし、各人の奇妙な性癖や死に至る病気の話は初耳が多い。「作家になりたい」意欲に燃えるあまり頭のネジが飛んでしまった文士たちの姿は小説の登場人物のようだ。そこまでしてなぜと思いたくなるが、周囲に迷惑をかけるほど妄執に憑かれた人でなくては本物の小説を書けないのか。2020/10/22

たくのみ

15
大衆うけする「飢餓海峡」ではなく純文学をめざした水上勉、「旗ふるな、旗ふらすな」に託された、城山三郎の戦争扇動への反感。バーのママの余技と言われることを嫌った山口洋子。御馳走しないと気が済まない井上ひさし、常識と反常識の同居する遠藤周作。昭和の文壇の個性的な人々と「小説新潮」の担当編集として、飲み、語った日々の回想録。制御がきかなくなっていく西村寿行、傍若無人な京都パーティーを続けた山村美紗など編集者泣かせの大作家たち。エピソードは面白いけど、当事者はたいへんだったんだろうなぁ。2015/08/06

nizimasu

13
元新潮社の敏腕編集者の見聞きした作家ゴシップが全編を占めていてこれは昔の噂の真相みたいでとても面白く読めた。特に前半は水上勉や渡辺淳一、遠藤周作といった大御所が出てくるのであっという間に読んでしまう。それにしても編集者と作家の関係は猛獣と猛獣使いに例えられるが、西村寿行のようななかば暴力のような理不尽さにも耐えうる仕事である編集者の矜持みたいなものが感じられる。その一方で山村美紗への冷淡な対応なんかもさりげなく書いていて、ここまで書いていいのかと思ったがいずれも鬼籍にはいっているからか、その筆は鋭い2015/07/29

ふう

11
とにかく激しいエピソードばかり(読めばわかる)。「直木賞に頭を焼かれてしまった小説家」って本当にそうなんだろうなと納得できるような作家先生たちの壮絶な日々。誰が誰の愛人だとか、お前は何様だよな女帝ぶりとか、酒豪だ暴君だ精神病に糖尿病だとかなり赤裸々に語られててビックリ。出版社の経費ってどの辺りまで落ちるんだろと余計な心配を…って心配といえば多島斗志之…どこででもいいから平穏な日々を過ごしていて欲しい。結論として一番好きなのは都筑道夫。その反対は山村美紗w 井上ひさしのメッセージ、いいなあ。2015/10/05

天晴草紙

10
気になる作家だけ読むつもりが興味深くて全部読んでしまった。作家として生きることはすさまじいものだと思った。倫理と無縁な作家は「あちらにいる鬼」だけではないようで、自宅に帰らず女を転々とした男や、不倫相手の話を妻に詳しく報告する異常男などなど。現代でもいるのだろうか。身勝手な夫に妻たちはどういう思いで暮らしていたのだろう。狂気の極みは「女帝の時代」だ。女性流行作家が教祖のようにふるまい出版社の人間はあきれながらひれ伏す。権力に溺れるのは男に限らない。出版社に勤務していた著者の悲哀も深みを加えている。2021/02/10

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