講談社現代新書<br> 未曾有と想定外―東日本大震災に学ぶ

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講談社現代新書
未曾有と想定外―東日本大震災に学ぶ

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  • サイズ 新書判/ページ数 194p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062881173
  • NDC分類 369.31
  • Cコード C0236

出版社内容情報

「未曾有」と「想定外」、二つの言葉に隠れてしまった本質的な問題とは? 3月11日から原発事故調査委員会・委員長に就任するまでに、失敗学の視点から考えた大津波と原発事故。311後の日本を考えるヒント。

第1章 津波と未曾有
「未曾有」という言葉/「人は忘れる」という大原則がある/「失敗学」と「津波」/津波に「対抗」するのか「備える」のか/田老地区の二つの防潮堤/逃げなかった高齢者と逃げられなかった介護者/「情」と「職業倫理」が判断を狂わせる/信玄堤に見る「いなす」「すかす」思想/それでも人は海岸に住む/記憶を少しでもとどめるために  etc.
第2章 原発と想定外
「想定外」という言葉/「想定」について考える/「見たくないものは見えない」「聞きたくないことは聞こえない」/津波のデータも「見たくないものは見えない」/組織事故という考え方/絶対安全の虚構/事故調査についての考え方/忘れ去られた技術の系譜/地震国日本における想定/原発はなぜ必要だったのか/本質安全で設計できるか/リスクとベネフィット  etc.
第3章 日本で生きるということ
日本は北と西に分断されている/崩れを止める人々/満濃池以来のダム決壊について    思ったこと/「八ッ場ダム」「スーパー堤防」について考える/首都圏水没の可能性    /歴史は繰り返す、自然災害もまた/日本人を日本人たらしめてきたもの etc.


畑村 洋太郎[ハタムラ ヨウタロウ]
著・文・その他

内容説明

私たちは今回の災害を転換点にできるのか?失敗学の畑村教授がいままで考えてきたこと、そして3月11日から「原発事故調査・検証委員会」委員長になるまでに考えたこと。

目次

第1章 津波と未曾有(「未曾有」という言葉;「人は忘れる」という大原則がある;「失敗学」と「津波」 ほか)
第2章 原発と想定外(「原子力村」のお粗末ぶり;「想定外」という言葉;「想定」について考える ほか)
第3章 日本で生きるということ(自然災害は日本の必然;日本は北と西に分断されている;崩れを止める人々 ほか)

著者等紹介

畑村洋太郎[ハタムラヨウタロウ]
1941年生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授、工学院大学グローバルエンジニアリング学部特別専任教授を歴任。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主宰。02年にNPO法人「失敗学会」、07年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる。日本航空安全アドバイザリーグループ委員、JR西日本安全有識者会議委員、リコールの原因調査・分析検討委員会委員長などを務め。11年6月より東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

57
人は忘れやすく、見たくないもの聞きたくないものはシャットアウトしてしまう。津波対策と原発事故において、その性質が顕著なかたちで表面化してしまった。これからは、常に最悪の事態を想定して物事にあたらねばならない。どんな現実に直面するか誰にも予想できないからこそ、智慧の力を発揮せねばならない。2015/11/08

mitei

43
失敗という観点から今回の事故を見るとまた色んな角度が分かった。これからも筆者には原発事故の原因調査委員会で活躍していただきたいと思う。未曾有とか想定外は如何に自分たちが何も考えていない証拠だということに気付かされた。2011/09/24

たー

18
技術への過信と危険の忘却(時間による風化や「想定」の枠外に置いてしまうこと)が災害を大きくする。他人事ではなく自らの教訓としたい。2011/10/23

Humbaba

11
自然に打ち勝とうと思っても,それは不可能であり,無駄なことが多い.しかし,力の方向を逸らすだけで,自然から受ける脅威は激減させることが可能である.自然災害の直接的な被害は避けられないが,それを大きくするのも小さくするのも人間の力次第である.専門家は,その被害を少しでも小さくするために存在するのであり,そこで想定外,という言葉を使うのは間違っている.2012/02/08

まる@珈琲読書

9
★★★★☆ ■感想:未曽有と想定外。責任逃れにしか聞こえなかったこの言葉。東電、政府の未曽有の無責任さはまったくもって想定外であった・・・なんてことはなく、これまでとおりで想定の範囲内です、ハイ。 ■学び:自然は過去の習慣に忠実である。「情」と「職業倫理」が判断を狂わせる。→安全のために最善を自分で判断して行動しろ。コンプライアンスの本来の意味は社会の要求に柔軟に対応する。人間は「忘れっぽく」、「見たくないものは見えない」。自分の眼で見て、考え、判断し行動する人間が強い。 ■行動:自分で判断する。2016/06/30

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