内容説明
ヤマトタケルノミコト(『古事記』)、オスカル(『ベルサイユのばら』)、娘(『道成寺』)、ポーシャ(『ヴェニスの商人』)…。古今東西を問わず、演劇や文学、映画、アニメ、漫画に数限りなく登場してきた「女装する男」と「男装する女」。彼/彼女たちは、なぜ性の境界を超えようとしたのか?“変態”“異常”“倒錯”という言葉で片付けてしまうだけでは気がつかない、性と愛の現実がそこにある。「男と女」という単純な二項対立がsexとgenderの視点をからめると無限の性別へと変化していくさまをつぶさに論じ、人間の生の多様性に軽やかに迫る。
目次
第1部 男から女へ―エロスと暴力とユーモアと(“オヤジ殺し”の手段―ヤマトタケルノミコト/『古事記』;流動するセクシュアリティ―弁天小僧/『青砥稿花紅彩画』;演劇的幻惑―お嬢吉三/『三人吉三巴白浪』 ほか)
第2部 女から男へ―戦いと自己実現と恋と(“戦う女”になるために―サファイア/『リボンの騎士』;自己実現の誇り―オスカル/『ベルサイユのばら』;親孝行な「父の娘」―ムーラン/『ムーラン』 ほか)
第3部 双方向の越境―ジェンダーの呪縛を超えて(古代の“性同一性障害”―“姫君”と“若君”/『とりかへばや物語』;性と生の可能性を求めて―オーランドー/『オーランドー』)
著者等紹介
佐伯順子[サエキジュンコ]
東京都に生まれる。学習院大学卒業、東京大学大学院総合文化研究科比較文学比較文化専攻博士課程満期退学。国際日本文化研究センター客員助教授、帝塚山学院大学教授などを経て、同志社大学大学院社会学研究科メディア学専攻教授。学術博士(東京大学)。著書に『「色」と「愛」の比較文化史』(岩波書店、サントリー学芸賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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