内容説明
満洲族の一小国が、飽くなき革新力により、巨大な中華世界を飲み込む。その力は中華世界を越え、中央アジアへ進出し、イスラムをも取り込んだ空前の大版図を築く。華夷秩序を超越する世界帝国の体現者=清朝。それは、満・蒙・漢・蔵・回五族からなる、現代中国の原型だった。康煕・雍正・乾隆の三代皇帝を中心に、その若々しい盛期を描く。
目次
序章 天安門から満漢全席まで―大清帝国と現代中国
第1章 三つの貌を持つ帝国
第2章 民族統合・建国から大清国の成立―初代ヌルハチと第二代ホン=タイジの時代
第3章 中国内地への進出から絶対君主権の確立へ―第三代順治帝・第四代康煕帝・第五代雍正帝の時代
第4章 最大版図の形成―第六代乾隆帝の時代
第5章 「華夷一家」多民族王朝の確立
感想・レビュー
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珈琲好き
6
赤ペン先生雍正帝は笑った。 / 明から清が産まれたと思ってたが、明が滅びる前から清は清だったのね。2018/02/18
の
2
女真族が中国を統治した清朝を解析。現代中国では最後の帝国としての悪のイメージが強く蒼穹の昴のイメージがある日本では考えられない程の皇帝専制政治へのマイナスな部分が取り上げられているが本書はそうしたある意味自虐的な歴史観から離れ一少数民族が築き上げた中国の思想やシステムを解き明かしていく。現在の中国の国境もこの時代にほぼ完成し周辺諸国への圧力を強めていく一方で国内では多民族による共存の道を模索していくそれまでの政治方向とは異なるが中国の伝統を受け継ぎ次へバトンタッチする役割を果たした。そこは評価しないと。2011/08/22
石橋
1
東洋文庫の「大清帝国展」を観た。さらに同展のネット配信で石橋先生のお人柄を知り、どうしても読みたくて古本屋で取り寄せて読む。良かった。なぜ絶版なのか解せぬ。2021/04/28
アルトアイゼン
1
「夷」である女真族が如何にして「華」を体現する王朝、大清帝国を打ち立てたかを理解出来た。また清成立以前から内包した多民族性がその後の多民族国家清朝の成立に深く関わると理解出来た。2020/11/25
numainu
0
評価C2007/04/06