内容説明
陸軍「支那通」―中国スペシャリストとして、戦前の対中外交をリードした男たち。革命に共感をよせ、日中提携を夢見た彼らがなぜ、泥沼の日中戦争を用意してしまったのか。代表的支那通、佐々木到一たちの思想と行動をたどり、我が国対中政策失敗の原因を探る。
目次
序章 陸軍支那通とは何か
第1章 陸軍支那通の誕生
第2章 中国軍閥と支那通
第3章 新支那通の登場
第4章 ナショナリズムの相剋
第5章 日中衝突
終章 支那通の功罪
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
杞人
3
脳内中国に勝手に惚れ込んでお節介を焼き、おまけに欧米コンプレックスの裏返しとしての偏見には無自覚で、ついでに愛への対価として見返りまで要求する。そして極めつきに相手が言いなりにならないと幻滅して殺意を抱く……ああ、つまりヤンデレってことですね。わかります。2011/04/10
wuhujiang
2
「支那通」と呼ばれた、日本陸軍で中国問題を専門にした軍人たちの足跡、思想を追う。 顧問として北方軍閥を操縦しようとし、却って軍閥のスポークスマンになってしまった「旧支那通」・中国統一の風潮を理解しながらも、日本の国益に反すると見るや謀略を含む反国民政府運動を展開し、泥沼の戦争に引き込んでしまった「新支那通」に類別して語られている。 新旧支那通ともに無知ではなく、中国の実地を理解した専門家であったが、深く知っているがゆえに失敗してしまったといえるだろう。 専門家であっても、必ず正解しているわけではない。2020/05/10
残留農薬
1
情報収集に当たる陸軍将校が、必要性から接近し交流を深めたインフォーマント(地方政権指導部)の肩を持つようになったり、より狭い地域のプロパーと化した結果として中国全体の趨勢には疎くなってしまったりと、現在の取材や研究においても肝に銘じないといけない失敗例の宝庫で笑えない、と同時に、そういう人情味溢れる「支那通」軍人にはどこか憎めない感じもあり…笑2015/12/03