身分帳

身分帳

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  • サイズ B6判/ページ数 359p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784062049566
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

「俺は真直ぐ生きた。」社会はかくも冷たく、そして温かい。殺人罪で服役、満期で刑務所を出所した「戸籍のない男」の真実を描く魂の長篇小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hiace9000

49
収容者身分帳簿、通称「身分帳」。11年の刑期を終え出所した山川一が分け入る、不可視な壁に囲まれる日常。退屈で切実な現実と悲劇を直視し続けるほぼノンフィクションの作品。出生も生育歴も残酷で悲惨、悪道に堕ちるしかなかった男の歪みと破天荒な半生は読み進むほど鬱々としてくる。読中、私が問い続けたのは、役所広司の主演で映画化された際のタイトルが『すばらしき世界』であったその理由だ。映画監督西川美和は、そこに何を見たのか、作者佐木隆三は何を主題としたのか。それが知りたいと思わせる強い力が、この作品には確かにある。2021/11/12

loanmeadime

17
映画「すばらしき世界」を見たかったのですが、生憎近くに上映館がないので、原作の方を。世間と折れ合いをつけると言いながら、負け続けてきた自分に嫌気もさす山川一の生きざまです。小説なんですが、ルポルタージュ風に事実が並べられて、ドキュメンタリーを読む思いでした。借りてきた本には秋山駿氏と作者の対談が付録でついていて、実在の人物の身分帳に基づく作だとわかりました。迫力のある読み物でした。2021/02/22

夜明けのランナー

15
人生の大半を刑務所で過ごした、たった1人の男のものがたり。生まれながらにして愚行な人格だったのか、育ってきた環境がそうさせたのか。不器用ながらも自分なりの生活で生きぬき、人を愛し、愚直なまでの魂で突き進む様は真似しようとしてもできない。 同情で物事が解決するのなら、この世に生を受けたことに後悔するかもしれない。2021/04/06

wasabi

9
著者の作品を読むのは随分と久しぶりで、レビューを調べると13年ぶり。加賀乙彦さんにせよ著者にせよ、多くの殺人囚と接してこられた方の作品はずしりと重く、いつしか自分を囚人に重ねて息苦しくなる。山川一、なまじっか律儀で潔癖で度胸があるだけに、いかにも危うい。いずれも大切とされながら、むしろ備わっていない方が差し障りなく生きられる矛盾。更生支援では、ケースワーカーの助言じゃないが「もっと妥協して生きなさいよ」ってとこかな。自分を抑え、ときに信念を曲げる。かっちょ悪いけど、これはこれで勇気がいるし、俺もまだ甘い。2021/07/23

ぽけっとももんが

8
山川という人物を理解するのは難しい。殺人犯ではあるけれども、真面目で正義感もあり、悪人と切り捨てられない愛嬌もある。なにより教育がなくても頭がいい。なのに怒りの沸点が低く、突然爆発するのだから、まわりは腫れ物を触るような扱いにならざるを得ないだろう。弁護士の先生やスーパーの店長が親身になったりちょっと距離を置いたりするのも、彼の人物的な魅力とその怒りの導火線の短さに振り回されるからだろう。しかし短絡的だったり段取りが踏めなかったりするのは、生育的な環境に恵まれなかったからだと思う。2021/06/05

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