内容説明
幕末随一の文明藩、佐賀藩の鍋島閑叟は、若い秀才たちに極端な勉学を強いた。近習秀島藤之助は、世界最新の高性能大砲の製造を命じられ、頭脳の限り努力する。酷使された才能は弊れたが、完成したアームストロング砲は、彰義隊を壊滅させ、新時代を開いた。風雲の中に躍動する男たちを描く、傑作9編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
75
幕末における裏話的な短編集。鍋島藩がその技術の全てを投じて作り上げたアームストロング砲等。当時連載中であった「竜馬がゆく」や「燃えよ剣」には入らなかったスピンアウト的な作品集。メジャーではない話ではあるが、もう一つの幕末を楽しめる。やっぱり司馬遼太郎は幕末が面白い。★★★
そうたそ
35
★★☆☆☆ 主に幕末を舞台とした作品が多い短篇集。幕末ということもあってか、新選組だったり坂本龍馬だったりが脇役として幾度と無く作品に登場している。歴史における脇役の更に脇役、みたいな人たちにスポットを当てて描かれており、まさに司馬さんならではの短編が揃っている。個人的にはやっぱり幕末あたりよりも、戦国時代あたりの武将の方がアホながらも憎めない気がして好きかなあ。あっさりした文体で、ラストもずるずる引きずらずストンと落とす。こういうところに却って司馬さんの歴史への愛が感じられるなあ。やはり味わい深い。2014/10/05
TSUBASA
26
洋式の戦法を研究した佐賀藩が見初めた新式の大砲が日本に取り入れられるまでを描く表題作を始めとする幕末期に焦点を当てた短編集。どうしても背景とかが頭に入ってないので各短編とも序盤は読みにくい感じがするけどそのあたりが了解出来てからはどれも凄く面白かった。特に良かったのは、新撰組結成以前、関東で幅を利かせようとした邪流剣術が近藤勇たちの道場を破ろうとする『理心流異聞』。しかしどの短編にしても完成度たけーなオイ(言いたかっただけ)2015/11/07
衛兵
23
幕末を舞台にした短編9編。薩長、幕軍、新撰組などのメインどころから、ちょっと外れたいわばバイプレイヤーを主人公として描かれていく。この時代が狂乱の時代である一方で、多くの人々がその命を鮮やかに燃やしていた時であったことにも気付かせてくれる。2017/07/17
出世八五郎
12
司馬の短編は何故素晴らしいのか?彼が私小説とか書いても売れたと思うのは私だけか?