出版社内容情報
さまざまな物質の物性、熱力学との関連、さらには量子力学への導入まで、統計力学の方法論がいかに用いられるかを詳述本書は『講談社基礎物理学シリーズ』の第8巻であり、統計力学という物理学分野を詳説するものです。
統計力学は、熱力学の親戚筋にあたります。熱の正体は物質を構成する分子の運動の激しさなのですが、分子はとてつもなく小さくて数が多いので、1 個 1 個の分子の動きを追うことは不可能(であり無意味)です。そこで、分子の集団の振る舞いを統計的に観察するのが統計力学です。
しかし、統計力学は熱力学にもまして数式が抽象的でわかりにくく、初学者には特に不評な科目です。本書は確率論や数理統計の前提知識は一切必要なく、統計力学に初めて触れる初学者が理解できるようにした教科書です。難解な数式に惑わされず、物理的な意味をしっかり理解できるように、具体的な例題を大いに活用しました。
第1章 統計力学のはじまり
1.1 はじめに 1.2 温度 1.3 理想気体の状態方程式と絶対温度 1.4 気体分子運動論
1.5 気体分子運動と比熱 1.6 固体の比熱 1.7 実在気体の状態方程式
第2章 マクスウェル‐ボルツマン分布
2.1 いろいろな粒子の速さ 2.2 マクスウェルの速度分布則 2.3 気体分子の速度分布 2.4 ボルツマン分布
第3章 等重率の原理とミクロカノニカル分布
3.1 微視的な状態 3.2 理想気体 3.3 エントロピー 3.4 マクスウェルの速度分布とエントロピー
第4章 カノニカル分布
4.1 カノニカル分布の導入 4.2 エネルギー等分配則 4.3 自由エネルギーとエントロピー 4.4 ほとんど独立な部分系の集合 4.5 理想気体のカノニカル集団としての扱い
第5章 カノニカル分布の応用
5.1 ラグランジアンとハミルトニアン 5.2 2原子分子気体 5.3 量子論的効果 5.4 プランク放射
第6章 固体の比熱,グランドカノニカル分布
6.1 1次元格子振動 6.2 3次元振動 6.3 グランドカノニカル分布の導入 6.4 大分配関数と熱力学関数 6.5 理想気体
第7章 フェルミ分布とボース分布
7.1 同種粒子と波動関数の対称性 7.2 フェルミ統計とボース統計 7.3 理想気体の古典論と量子論
第8章 フェルミ縮退とボース凝縮
8.1 自由電子気体 8.2 有限温度での自由電子気体 8.3 ボース凝縮
第9章 相転移と臨界現象I ── イジング模型9.1 相転移とは 9.2 1次元イジング模型 9.3 転送行列の方法 9.4 磁化率と相関関数
第10章 相転移と臨界現象II ── 平均場近似と臨界指数
10.1 イジング模型における相転移 10.2 平均場近似と相転移 10.3 いろいろな系の相転移とイジング模型 10.4 ランダウの現象論
第11章 相転移と臨界現象III ── くりこみ群とスケーリング則(以下各章詳細略)
第12章 簡単な輸送現象 ── ブラウン運動と電気伝導
付録A 熱力学第2法則と熱力学関数,相平衡
付録B ラグランジュの未定乗数法
章末問題解答
北原 和夫[キタハラ カズオ]
著・文・その他/編集
杉山 忠男[スギヤマ タダオ]
著・文・その他/編集
二宮 正夫[ニノミヤ マサオ]
編集
並木 雅俊[ナミキ マサトシ]
編集
目次
統計力学のはじまり
マクスウェル‐ボルツマン分布
等重率の原理とミクロカノニカル分布
カノニカル分布
カノニカル分布の応用
固体の比熱、グランドカノニカル分布
フェルミ分布とボース分布
フェルミ縮退とボース凝縮
相転移と臨界現象1―イジング模型
相転移と臨界現象2―平均場近似と臨界指数〔ほか〕
著者等紹介
北原和夫[キタハラカズオ]
1946年生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。理学博士。現在、国際基督教大学教養学部教授、東京工業大学名誉教授。元日本物理学会会長
杉山忠男[スギヤマタダオ]
1949年生まれ。東京工業大学理学部応用物理学科卒業。理学博士。現在、河合塾物理科講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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