星海社新書
二階の住人とその時代―転形期のサブカルチャー私史

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  • サイズ 新書判/ページ数 489p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061385849
  • NDC分類 361.5
  • Cコード C0295

出版社内容情報

時は80年代。おたく文化の萌芽はあの徳間書店の二階『アニメージュ』編集部にあった。これぞ極上の青春譚にして第一級の一次史料!【内容紹介】
「おたく」文化の萌芽は「二階」にあった
時は一九七八年。東京は新橋にひっそりと佇む、今はなきビルの「二階」に、その編集部はあった。そこに住み着くようにして働き始めたのは、まだ行くあてすら定かではなかった若者たち。のちに「おたく」文化の担い手として歴史に名を残すことになる彼らが集ったその「二階」は、胡散臭くもじつに「奇妙で幸福な場所」だった―。一九八〇年にアルバイトとして「二階」で編集者の道を歩み始め、八〇年代を通して巻き起こった、今日に至る「おたく」文化の萌芽とメディア産業の地殻変動の歴史を目撃してきた大塚英志がよみがえらせる、''あの,,時代の記憶。これは、第一級の「おたく」文化史料にして、極上の青春譚である。

第1章 そもそも「徳間書店の二階」とはどういう場所だったのか
第2章 『アサヒ芸能』とサブカルチャーの時代
第3章 徳間康快と戦時下のアヴァンギャルド
第4章 歴史書編集者・校條満の「歴史」的な仕事
第5章 劇画誌編集としての鈴木敏夫
第6章 そうだ、西崎義展に一度だけ会ったのだった
第7章 『宇宙戦艦ヤマト』と「歴史的」でなかったぼくたち
第8章 『アニメージュ』は「三人の女子高生」から始まった
第9章 最初の〈おたく〉たちと「リスト」と「上映会」の日々
第10章 「ファンたち」の血脈
第11章 「アニメ誌編集の作法」を創った人たちがいた
第12章 「橋本名人」が二階の住人だった頃
第13章 「ガンプラ」はいかにして生まれたか
第14章 そもそもぼくはいかにして「二階」にたどりついたか
第15章 尾形英夫、アニメーターにまんがを描かせる
第16章 浪花愛と「アニパロ」の誕生の頃
第17章 シャアのシャワーシーン、そして『アニメージュ』と『ガンダム』の蜜月
第18章 安彦良和はアイドルである。しかし…
第19章 『アニメージュ』、宮崎駿に「転向」する
第20章 池田憲章はアニメーションを語ることばをつくらなくてはいけないと考える
第21章 「ロリコンブーム」と宮崎駿の白娘萌え
第22章 『ヤマト』の「終わり」と金田チルドレンの出現
第23章 テレビアニメを見て育った人がテレビアニメをつくる
第24章 押井『ルパン』と教養化するアニメーション
第25章 二階の「正社員」たちは「マスコミ志願」だった
第26章 「暴走アニメーター」とは何者だったのか
第27章 庵野秀明には「住む家」はなかったが「居場所」があった
第28章 データ原口のデータベースな生き方
第29章 そしてみんな角川に行った…わけではなかった


大塚 英志[オオツカ エイジ]
著・文・その他

内容説明

時は一九七八年。東京は新橋にひっそりと佇む、今はなきビルの「二階」に、その編集部はあった。そこに住み着くようにして働き始めたのは、まだ行くあてすら定かではなかった若者たち。のちに「おたく」文化の担い手として歴史に名を残すことになる彼らが集ったその「二階」は、胡散臭くもじつに「奇妙で幸福な場所」だった―。一九八〇年にアルバイトとして「二階」で編集者の道を歩み始め、八〇年代を通して巻き起こった、今日に至る「おたく」文化の萌芽とメディア産業の地殻変動の歴史を目撃してきた大塚英志がよみがえらせる、“あの”時代の記憶。これは、第一級の「おたく」文化史料にして、極上の青春譚である。

目次

そもそも「徳間書店の二階」とはどういう場所だったのか
『アサヒ芸能』とサブカルチャーの時代
徳間康快と戦時下のアヴァンギャルド
歴史書編集者・校條満の「歴史的」な仕事
劇画誌編集としての鈴木敏夫
そうだ、西崎義展に一度だけ会ったのだった
『宇宙戦艦ヤマト』と「歴史的」でなかったぼくたち
『アニメージュ』は「三人の女子高生」から始まった
最初の“おたく”たちと「リスト」と「上映会」の日々
「ファンたち」の血脈〔ほか〕

著者等紹介

大塚英志[オオツカエイジ]
まんが原作者・批評家。1958年東京都生まれ。筑波大学卒。80年代を徳間書店、白夜書房、角川書店で編集者として活動。「コミックウォーカー」内に自腹で自主制作サイト「大塚英志漫画」を主宰。批評家としては、文学・民俗学・政治についての著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

34
『コクリコ坂から』の舞台となった場所とあるようにジブリ関係者が多く、そっかこれ『アニメージュ』だと途中で気づき、様々なコンテンツの源流は実は同じだったということに驚きます。そこにいた著者の嗅覚は素晴らしいし、詳しい内容は知識として忘れても、この世界の体験として読む意義はあります。当時、彼らの文章や原稿は手書きです。ITはありません。不衛生で雑駁な雰囲気の中でも、著者が全面的に肯定したい80年代のレベルの高さに、人間の想像力の力強さを感じます。2019/09/08

阿部義彦

17
分厚い新書です。表紙の吾妻ひでおのイラスト目当てで購入。1978年今は無き徳間書店二階の第二編集局でバイトとして働き始めた著者の回顧録。アニメージュの話題が多くヤマト、ルパン、ラムちゃん、ガンダム、マクロス、クリーミィマミ、そして何よりもナウシカ!私の苦手なアニメの話題が多いのですがあくまでも本書での眼目は人間関係であり人の来し方行き先で、あるので自分より3つ年上でアニメよりも少女漫画の洗礼を色濃く浴びた著者の描いたアドレっセンス、後半のセルフ出版との関わりや漫画家なにわ愛との出会いなどあの時代ならでは。2016/06/16

かみしの

9
青春の書だった。『アニメージュ』を中心とした徳間の二階に集まった人間たちのスケッチ。全共闘世代との距離感、ヤマトではなくナウシカを選んだ『アニメージュ』、尾形やアニメーター・編集者との思い出、89年に訪れた終わり……。その場にいた人間による90年に入るまでの製作者側のおたく通史として、面白い一冊。沢田ユキオ(ぼくの中ではスーパーマリオ君の人)と大塚が友人だったり、プレヴェール脚本のアニメがあったり、あまりアニメに詳しくないぼくも面白いと思える情報盛りだくさんだった。最後の文章に涙したのは内緒だ。2016/05/29

コリエル

7
大塚英志による80年代サブカルチャー私史。ジブリが発行している雑誌で連載されていたことと、大塚当人が80年代前半をアニメージュに関わりながら過ごしたことがあり、その内容は徳間書店アニメージュ編集部員たちを中心に語られている。大塚よりも2回りは下の自分からすると彼は角川の住人という印象だったのだが、その前身としてなかなか濃い青春を過ごしていたのだなあと。声優のアイドル化やアニメ制作者のスター化など、アニメージュ創刊頃に既に現在と変わらない状況か生まれており、ある種ループをしているんだなと感じたりもした。2016/07/26

富士さん

5
『アニメージュ』を通じて80年代のオタク史をダイナミックに描き、日本の文化史と接続する見事な仕事です。著者が書くべき、著者でないと書けないものだと思います。ただ、本書が多様で豊かで自由で熱かったオタクが、あるべき型をあたえられ、正しく学び活動するエスタブリッシュ化していくある種の盛衰史になっていることには注意が必要です。岡田斗司夫さんもそうですが、原オタクは多分に自時代中心主義者であるように思います。90年代にも、そして60年代にも本書のような本が書かれるべきだし、書くことができると思うのですが。2021/07/29

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