出版社内容情報
平清盛を中心とする平家一門の興亡に焦点を当て、源平の勇壮な合戦譚の中に盛者必衰の理を語る軍記物語。音楽性豊かな名文は、琵琶法師の語りのテキストとされ、後の謡曲や文学、芸能に大きな影響を与えた。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤベ
3
それぞれの出来事の迫力が生み出す物語的な面白さ、それらの継ぎ起きたのが日本仏教的な信賞必罰の因果で説明される宗教的凄み、翻弄される登場人物の情の動きが醸す小説的な面白さ、それらが事実をベースに編成されたという歴史の味わい、など、とにかく文学の醍醐味の殆ど全てが詰まっている恐ろしい作品。最初の1/3は出世と陰謀の平安的物語で、俊寛の死と安徳天皇の生誕という悲壮と栄華栄耀のピークまでその味が続く。序章としての以仁王の挙兵と破格の怪僧文覚が頼朝に謀反を唆すあたりからきな臭くなる。2022/12/18
ヤベ
2
無常観と浄土思想が物語を貫く。物語の構成は疑義を差し挟む余地がないほど自然かつ大胆で、国文学史上で抜きん出ていると思う。文体も明晰で淀みがない。古事記以降の国文学の技をあますことなく駆使した総括的な文体だと思う。それをもって描かれるあらゆる人々の盛衰に自分を見出してしまう。細かいことは下巻に書く。2021/08/06
ukmsblue
2
上巻ようやく読み切り。岩波版を四巻揃えるより安そうだったので買ったものの、注釈が少なく、たいうか用語注釈がほとんどない。これはつらかった。登場人物が多いのに加え、役職で呼んだりするため、いったいこの大臣はどの大臣といったことも多々。でも面白いこと、面白いこと。下巻に突入。2020/08/30
k.ichihara
1
上巻(1~7巻)読了。注釈が少なく不親切なのでつらい箇所がいくつかある。8巻以降は岩波で読む予定。巨大組織が傾いて、誰もがやばいと思いながらどうしようもなくなっていく様子が身につまされる。俊寛や祇王の段、忠度都落ちの段など入試や模試でもおなじみのシーンがやはり面白い。ただ各段を散発的に読んでいた時と違って、全体として宗教的な力を大きく感じた。叡山や興福寺など仏教勢力が政治に影響している点と、語り自身が仏教的世界観持つ点が相互に作用して仏教感の強い作品にしている面に目がいった。2021/02/08
まさひーる
1
☆4 平家の衰亡もさることながら、様々な人々の心情を淡々と語る様が物哀しさを感じさせる。戦の話もあれば宮中の話もあり、時には妖怪のエピソードも織り込まれ、時代を丸ごと包み込んでいるような話であった。2019/12/15