内容説明
「巧。おまえにだけは、絶対負けん。おれが、おまえにとってたったひとりの最高のキャッチャーだって心底わからせてやる」三年部員が引き起こした事件によって活動停止になっていた野球部。その処分明け、レギュラー対一年二年の紅白戦が行われ、巧たちは野球が出来る喜びを実感する。だが未だ残る校長の部に対する不信感を拭うため、監督の戸村は強豪校、横手との試合を組もうとする…。一方、巧と豪の堅かった絆に亀裂が入って!?青波の視点から描かれた文庫だけの書き下ろし短編「樹下の少年」収録。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県に生まれる。青山学院大学文学部卒業。『バッテリー』(教育画劇)で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で、日本児童文学者協会賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
183
まさかの展開に心躍ります(巧と豪には申し訳ありませんが・・・・・)。でも、これこそが『成長』であり『青春』ではないかと思います。もう一言加えると、部活を通しての“大人の階段上る”ってヤツではないでしょうか。2020/07/18
再び読書
119
豪の成長が試される巻。巧の自己中は変わりようが無い。先輩の陰湿なリンチに一人で挑む。この物語のキーパーソンである弟の青波が巧の深層心理を 突き動かす。やっと曲がりなりにも試合のシーンが登場し、野球小説であることを思い出させる。それだけ色々な人々の思いが交錯する実は複雑な人間ドラマ。もう続きを読まずにはいられない。2012/12/08
PSV
117
ようやくまともに試合の描写を観たような気がする(笑)改行をこまめにすることで、試合の臨場感やライブ感はよくでている。紅白戦も良かったけど、門脇との対決もなかなか。あっさりな決着と、豪とのやりとりも好み。書き下ろしの青波目線での話も良かった。巧、青波のこと大好きじゃん(笑)さあ、次は横手との試合かな。楽しみ。 ★★★★☆2012/12/27
ALATA
114
ボールが走り、風を切る音が聞こえる。そして3巻目にしてようやく紅白試合が始まった。漫画のように展開が早くはないが巧と豪の一球にかける思いが熱くほとばしる。病気がちな弟、青波が始めてキャッチしたボールは太陽と汗、土の匂いがする。鼓動の高鳴り、この感覚は懐かしい。投げて、打って、走る。それは簡単なスポーツではない。チームとして悩み、成長するという過程を一切すててあさのさんは描き切っている★5※海音寺、野々村、門脇新たな登場人物に対外試合の期待が高まる。2024/01/15
hitomi.s
95
たまたま私の「好き」が、プロ野球に向かっているだけのこと。それだけで、なんとなく少し、考えたり感じようとすることがあって、面白いなって思う。天気とか湿度とか、人の気持ちとか。心がヒリヒリしてジリジリする。本を、読むだけなのに。一瞬だけ、揺らいだだけで変わるんだ、本当に。突然に崩れるバッテリーや守備もある。そこを知っていてもなお、次を見たいと思うんだな。とか知った風なこと思った再読でした。2021/03/09