出版社内容情報
天下の奇人が語りはじめた、世にも珍妙な冒険譚。
おかっぱ頭の少女チイは、じつは男の子。大道芸人の両親に連れられて各地を踊ってまわるうちに、大人たちのインチキを見破り、炭田の利権をめぐる抗争でも大活躍。体制の支配に抵抗する民衆のエネルギーを熱く描く。
内容説明
おカッパ頭の少女のなりをした踊りの名手、大道芸人の美少年チイは、風俗壊乱踊りを踊ってワイセツ罪でつかまるが、超能力ぶりを発揮して当局者をケムにまく。つづいていかさま賭博を見破ったり、右翼玄洋社の壮士と炭坑労働者とのケンカを押さえるなど八面六臂の大活躍。大衆芸能を抑圧しようとする体制の支配に抵抗する民衆のエネルギーを、北九州を舞台に、緻密で躍動的な文体で描き出す、夢野文学傑作の一つ。
著者等紹介
夢野久作[ユメノキュウサク]
1889年福岡県に日本右翼の大物、杉山茂丸の長男として生まれる。幼名杉山直樹。夢野久作とは福岡の方言で「夢想家」の意。慶應義塾大学文学部中退。禅僧、農園主、能の教授、新聞記者と、種々の経歴をもち、1926年「あやかしの鼓」を雑誌発表して作家生活に入る。「いなか、の、じけん」等、因縁と心理遺伝を題材として作品を著し、構想10年の果てに完成した代表作『ドグラ・マグラ』は国内外の日本文学者から比類ない評価を受けている。36年春、47歳の生涯を終えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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