朝日文庫
ある男

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  • サイズ 文庫判/ページ数 354p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022647931
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

「地方は、中央に隷属しているわけじゃあないのだぜ」南部尾去沢銅山を食い物にする井上馨に直談判を企てる金工の男、岩倉具視暗殺事件の処理に暗躍した肥前出身の警察官、会津の民のために奔走した元京都見廻り組の男、国会開設を檄文で訴える岡山の隠れた俊才……。薩摩・長州が牛耳る明治中央政府のひずみに対して、地方から声を上げた名もなき数々の男たちの生き様を描く、渾身の時代短編集。

内容説明

明治政府が敷いた中央集権体制に昂然と抗った男たち。“意識”に目覚め立ち上がる者がいる一方、旧弊な立場に縋る者もいた。歴史に飲み込まれていった名もなき数多の痛切な叫びを描く、時代短編集。

著者等紹介

木内昇[キウチノボリ]
1967年東京生まれ。出版社勤務を経て独立、単行本・雑誌等の執筆・編集を手掛ける。2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。08年発表の『茗荷谷の猫』で注目され、翌年に第2回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。11年『漂砂のうたう』で第14回直木賞を受賞。14年『櫛挽道守』で第9回中央公論文芸賞、第27回柴田錬三郎賞、第8回親鸞賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

113
木内さんの短編集で、幕末から明治を生きた名もない男たちの物語を描いていて硬派な感じですが私は非常に楽しめました。7つの作品が収められていて私は最初の「蝉」と最後の「フレーヘードル」が印象に残りました。地道な生活をしている男たちがあることをきっかけにして自分の意志を貫いていくというある意味最近では見かけなくなったことを主題にしています。もう少し有名な人物を描いている小島直記さんの伝記小説を思いだしました。2018/12/28

のぶ

70
木内さんは、時代の空気を巧みに使って物語を築いていくのが上手い。本作もそんな上手さが出た短編集だった。時代はいずれも明治維新から数年間の期間。事の良し悪しは別にして、信念を貫いて行動する名もない男の出来事が描かれている。自分が先に読んだ最近作の「光炎の人」の主人公もそうだった。本作に出てくる男の行いは、深刻なものからユーモラスなものまでさまざま。作品全体を通して、明治維新から自由民権が広がっていった時代の世相が良く描かれていた。2017/03/12

shizuka

66
御一新、ゆっくりと激しく日本が変わった時。先を見る者、取り残される者、呆然とやり過ごす者。そんな中の「ある男」。男に名前はない。でも考え、憤り、体を燃やし確かに生きていた。偽札作りを持ちかけられ、自分の腕を試すために試行錯誤する男。この男が燃やしたもの、それは男の矜持だ。男は名誉のため、偽札作りに命をかけのめり込む。もう誰も求めていないのに。そこから、ひゅんと場面が変わり若かりしころの男と弟と母の話。急激に訪れたまろやかなあたたかさにくらくらし、えも言われぬ懐かしさがこみ上げてくる。これが木内昇の物語だ。2017/02/20

saga

59
実は別の『ある男』と勘違いして購入した本書。著者の他の作品を読了し、読み始めた。南部藩、リストラされた士族、米沢藩、会津藩など幕府側と目された土地や侍たちが被った政治的差別と、明治政府への抵抗と挫折を描く。それぞれの短編の主人公はただ「男」という呼称を与えられ、御一新後の混乱期を、時に疑問を感じながら、時に憤り、希望を潰えされながら懸命に生き抜く姿に惹き込まれた。2022/06/19

ひらちゃん

59
維新後の中央政権の流れに燻る男、流される男、自分の道を貫く男。地方から見た世を男の目から写したそれぞれの生き方。偉人達ではなく庶民にスポットライトを当てた所が当時を身近に感じさせる。木内さんの書く男って艶があったり、気骨を感じたり。一筋縄ではいかないようで目が離せないのよね。2017/02/04

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