慈悲の怒り―震災後を生きる心のマネジメント

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 157p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784022508867
  • NDC分類 369.31
  • Cコード C0095

内容説明

1歳児の双子と6歳の小学生の娘を持ち母を在宅看護する文化人類学者が提唱する、3・11後の私たちが今、やっておくべきこと。

目次

1章 創造のきっかけを作る(誰もが傷ついている;まだ「震災後」にはなっていない ほか)
2章 天災と人災をはっきり分ける(二つの事象;国破れて山河あり ほか)
3章 「空気」に自分を沿わせない(初めに状況ありき;日本人が不得意なこと ほか)
4章 生きる意味を見直す(不安を見えるものにする;「これは何かおかしい…」 ほか)
5章 慈悲からの怒りを持つ(正当な怒り・生産的な怒り;ダライ・ラマの言葉 ほか)

著者等紹介

上田紀行[ウエダノリユキ]
文化人類学者、医学博士。東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻准教授。1958年東京生まれ。東京大学大学院博士課程修了。86年よりスリランカで「悪魔祓い」のフィールドワークを行い、その後「癒し」の観点を最も早くから提示、現代社会の諸問題にもテレビ、新聞等で提言を行う。愛媛大学助教授(93~96年)を経て現職。その間、国際日本文化研究センター助教授(94~97年)、東京大学助教授(2003~05年)を併任。05年に渡米。スタンフォード大学仏教学研究所フェローとして、「今日の仏教は現代的問いに答え得るか」と題した講義(全20回)を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおにし

10
震災直後に緊急出版された約150ページの薄い本だが内容は素晴らしい。慈悲の怒りとは人にぶつける怒りではなく、社会の不正を正していきたいという気持ちから生まれる怒りのこと。ダライ・ラマも仏教徒にとって怒りというものはとても有益なものだと発言したそうだ。とても興味深い話だ。2012/11/23

Keiko Matsuda

4
三陸の魚を買おう、福島の果物を食べよう、という大キャンペーンが本当なら展開されていたはずと思うと、真反対に強力に向かわせた原発事故(=人災)は悔しくてたまらない。国が悪い、東電が悪い…それはそうだけど、根底にあるのは「組織の決定は尊重するもの」「みんなが大丈夫と言っていれば大丈夫」といった、空気に支配されてしまう私たちの意識。私が東電の社長だったとしても、同じ過ちを犯したかも…と思うと吐き気がした。「和をもって貴しとなす」と言った聖徳太子は偉いけれど、和=同じであることではないね。異をもって貴しとしよう。2012/02/24

タイコウチ

4
以前著者の「生きる意味」(岩波新書)に感銘を受けていたので、読んでみた。著者の問題意識は震災以前から一貫しており、年間3万人を超える自殺者がいるこの国において、いかにして「信頼」を支えに「生きる意味」を問い直すことができるかということ。「がんばろうニッポン」へのモヤモヤした違和感など多くの点で共感する。「不安」は無くすべきではなく、活かすべきである、という発想の転換は、放射性物質とともに生きなければいけなくなったこれからの日本に生きる私たちには必要なことと認めなければいけないのだろう。2011/07/04

Machida Hiroshi

3
本書は、東日本大震災直後の2011年6月に危機感を持って発行された、敗戦を招いたこの日本のシステムに対して怒りの声をあげよう、という趣旨の意見書です。僕は、発行から3年経ってからやっと本書を知り、読みました。しかし、あれから3年以上も経過した今でも日本のシステムが全くと言っていいほど変わっていないのは、怒りの声をあげる人が少なかったということで、著者も悲しいだろうと思います。僕も人任せにして自分で慈悲の怒りの声をあげるという行為を実践してこなかったことを反省しなければならないでしょう。済みませんでした。2014/04/06

ふじ

3
ネット上で似た意見を散見することはあるけど、一個人の書物としてまとめて読むと心や脳への定着率がまた違ってくるなあ。筆者の考えに100%同意することはなくても、「正しく怒ること」「きちんと不安がること」の大切さには同感。でもとても難しいこと/震災だけでなく、それに絡めつつ、戦時から現在の社会不安に続く「日本人病」とでもいうべき病理を指摘している。2013/01/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/3347410
  • ご注意事項