内容説明
理想の春、恋人への言い訳、旅のルポ、観音様のお告げ―勅撰集の部立てにならい、四季、恋、雑(世の中・人生)、祈りの4章を立て、和歌史を代表する48首を選出。詠まれた状況、歌人や文法の解説を交え、やさしく読みほどきます。時を越え、人々の願いを今に伝える“祈りの文学”、古典和歌の魅力を味わおう。「あとがき―和歌の一生」では、和歌文化を簡潔に解説。
目次
1 四季(春;夏 ほか)
2 恋
3 雑―世の中・人生(賀;旅 ほか)
4 祈り(神;仏 ほか)
著者等紹介
渡部泰明[ワタナベヤスアキ]
1957年、東京都生まれ。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は和歌文学、中世文学。東京大学の学生時代は劇団夢の遊眠社で演劇に熱中。その反動で時代を越えて変わらない言葉に惹かれ、どうして和歌はこれほど長く続いたのかをテーマに、和歌文学の研究を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エムパンダ
19
春夏秋冬・恋・雑(世の中・賀・旅・死)のテーマ別に厳選された和歌が解説されている。「和歌は『祈り』を形にしたもの」「和歌は祈りの文学」とあり、想いが込められているから名歌となるのですね。1つ1つの歌に膨大な研究が成されていることと思います。歌われた背景がわかると尚楽しめますね。2021/09/23
なの
15
昨年、すらすら読める方丈記を読んで、和歌に興味を持ち読み始めました。読み始めたと言っても週に一首くらいの超スローペースでしたが、元号令和ブームで読むペースが早くなり本日読了です。 自分でも詠みたくなりますね。素晴らしき文化でございます。 次は秀歌撰、小倉百人一首とかかな。細々と読んでいきたいと思います。2019/05/18
ひよピパパ
13
四季・恋・雑・祈りといったテーマごとに、和歌をピックアップして、それぞれについて解説したもの。各和歌についてわずか4頁の解説なのだが、簡明にして深い。思わず他人に話したくなるような知識満載だ。特に印象深かったのが次の和歌。夏「五月待つ花橘の香をかげば」ー歌は『伊勢物語』にも見えるとのこと。過去~現在を繋ぐ「橘」の神秘性が知れる。恋「秋山の黄葉をしげみ惑ひぬる」ー柿本人麻呂が妻を亡くしたときの歌。「黄葉」に「黄泉」を響き合わせているとは驚きだ。和歌についての概説(「あとがき」)もあり、有益。オススメの一書。2020/03/13
moonanddai
11
万葉集にひかれて…。これまでは和歌は、あの文法が分からないというか、一度読んでも意味が通らないというところもあり、ストレートな表現の俳句のほうが分かりやすいと思ってきました。ただ、「和歌は、事実を表現するのではなく、こうあってほしいという願いを託して詠むもの」というのにはなるほどと思いました。そういった歌に主観をこめるみたいなところが俳句とは違ってくるところなのでしょうね。これもまた児童生徒向けの本なのですが、(文字通り、今更なのですが)大変勉強になりますW。2019/12/12
このちー
6
百人一首にも素晴らしい和歌があるのだと教えてくれる良ガイド。解説も充実している。「君が代」について、天皇賛美の歌を国歌にすることの是非云々ではなく、レトリックの観点から解説した本は初見だった。2019/09/27