出版社内容情報
『モモ』の「時間どろぼう」とブラトンの「洞窟の囚人」現代を読み解く?! 情報産業社会を生きる僕たちは、昔の人間とどう違うのか。フランス思想とメディア情報学を研究する著者が中高生に語る。やさしく刺激的な特別講義。
内容説明
情報産業社会を生きる人間を考えるための、やさしいレッスン。話はエンデの『モモ』からはじまり、ヴェーバーやケインズ、プラトンやデカルト、フッサールにまで広がります。人類の知の蓄積からヒントを得て、君はメディア社会にどんな未来を描きますか。
目次
第1回 『モモ』で読み解く労働と産業社会(この授業で扱うこと;一〇〇年間の急激な変化 ほか)
第2回 欲望をつくる文化産業(アメリカの新しい資本主義;労働者を消費者にする「フォーディズム」 ほか)
第3回 意識を生み出すテクノロジー(時代を先取りした宮沢賢治;テレビのしくみ ほか)
第4回 メディアという洞窟(ソクラテスとプラトン;洞窟の囚人という設定 ほか)
第5回 自分と未来のつくり方(『モモ』の世界と現代;自分と未来の「つくり方」 ほか)
著者等紹介
石田英敬[イシダヒデタカ]
1953年千葉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退、パリ第10大学大学院博士課程修了。現在、東京大学大学院情報学環学環長・教授。記号学・メディア論、言語態分析を専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しょうじ@創作「熾火」執筆中。
16
【15/03/25】「情報のエコロジー」という考え方がいいと思った。要は、「しっかり生きろ」ということかw 150319-252015/03/25
K K
7
素晴らしき良書! 先日終えた就活のため買いながら暇がなく放置していたがここまで素晴らしいとは!子供向けだが内容は難解。大人こそ読むべき。 ミヒャエルエンデのモモに始まり、ソクラテス、フロイトなど深い。灰色の男たちは我々現代人をこそ食い物にしている。メディアから与えられたものを自分の"意識"と思い込み、もはやインストールしたほうがいいんじゃないかと片時もスマホを手放せないサイボーグのような我々。今こそタブララサして自分の意識を明確化し旅に出て真の人間らしさを取り戻し真に思いやり想像できる人間になろう。2017/10/20
ジュール リブレ
7
始まりはエンデの『モモ』でした。 あの時間泥棒のお話。どうして、あんな甘言に軽々と人は流されて行くのか? から始まって、今の情報過多な時代をどう見るべきか、を語り聞かせるお話。 岩波のジュニア新書でしたが、思いの外、読み甲斐がありました。つまり、まだまだ精神的には中学生レベルってことかな?2012/01/20
hakootoko
6
エンデ『モモ』や宮沢賢治の詩やプラトンの対話篇を見取り図にして、産業の変化が我々にもたらした変化を示す。その最新の情報産業社会でいかに生きるべきかをとく。産業革命は特異性を奪い、文化産業は欲望を奪い、そしてIT革命は想像力を奪った。切断する余白の時間を取って、接続された状態をメタ的に見て、比較検討したり、組み合わせたり、もっと行くと作品を作ったり批評したりして、能動的なはたきかけをしなければ、個人は象徴的貧困に落ち入り、マスメディアとの非対称性を克服するのは難しい。考え作るあるいは話す時間を作ろう。2021/12/15
Takeshi N
4
ジュニア向けの本、しかしシニアが読んでもとてもためになる本でした。情報が氾濫する今のメディア社会をプラトンの洞窟になぞらえ、人々は囚人になっているのではないかと。自分の目で本物、本質を見定めなければならないのは生成AIが出現した今にあっては、一層大事なことだ2023/06/06