内容説明
社会保障の真のあり方を再考し、今後、持続可能にするには?社会的に孤立したり、生活に困窮している人への各地での「相談支援」が、新たな可能性を育んでいる。それらを明らかにし、法律や社会保障制度のなかに位置づけながら、その先にある新たな“地域”づくりにも注目する。未来への希望が見えてくる本。
目次
第1章 持続がむずかしい社会保障
第2章 何のための社会保障か
第3章 何が変わってきているのか
第4章 社会保障は誰のためのものか
第5章 相談支援
第6章 地域再構築
おわりに 社会保障制度の再構築に向けて
著者等紹介
菊池馨実[キクチヨシミ]
1962年、北海道札幌市生まれ。北海道大学大学院法学研究科博士課程修了(博士(法学))。大阪大学助教授を経て、早稲田大学法学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
64
法律家の見地からの考察で概論的なものなので、問題の本質に踏みこむまでには至らず、やや散漫な印象を受けた。障碍者福祉、生活困窮者への福祉など、細かい問題にはこの本を踏まえつつさらに研究が必要になる。2019/09/25
パット長月
6
従来の給付一辺倒の社会保障から「相談支援」体制の構築と「地域(コミュニティ)」による支援体制の再構築が著者の主張である。正論と思う。が、大災害などによる既存体制の崩壊によって更地?状態にでもなればともかく、戦後の新しい生き方として、事実上家庭や地域社会からの独立が推奨・教育され、社会に対して自分勝手な要求ばかりする今の日本人に、自発的な活動を期待するのは現実的ではなかろう。まずは専門職や役所によるコスパに合わない地道な活動と、何よりも、小中学校の教育さらに家庭における教育内容を再構築する必要があるのでは。2020/01/29
見もの・読みもの日記
6
社会保障の目的は個人の自立と自律の支援にあるので、給付だけでなく相談支援が重要。異論はないが、やっぱり心配なのは財政基盤。「地域で支える」という主張も理想論めいて眉唾。その一方、自分も定年を迎えたら、以後はどこかの「地域」に帰属するしかないという気持ちは実感としてある。2020/01/10
富士さん
3
一貫してコミュニティをテーマにした高畑勲さんを論じるための参考文献。文学畑の高畑さんが敏感な公私のトレードオフに、法学畑の本書があまりに無邪気なように感じました。自分の専門に引き寄せたい気持ちは分かりますが、そもそも社会保障制度の一部としてコミュニティを整備できるかのような認識が間違っている気がします。それは政治やソーシャルワークの仕事で、法制が目指すものではない。著者が真に誠実であっても、経済的な安定すら保証できていない法制が、自分らしい生とか言い出すのは役人のおためごかしに手を貸すだけだと思うのです。2020/07/21
脳疣沼
2
地域の重要性が語られているが、上手くいく気がしない。個々の事例においては成功するところもあるかもしれないが、かなり悲観的に思う。国が破綻してどうしようもなくなって人々の繋がりができると言うことはあり得るかもしれないが。2022/07/30