出版社内容情報
〈読書〉という行為はいつどのように生まれ、そしてどこへ向かうのか?著者渾身の読書論、必読の決定版!
内容説明
「本はひとりで黙って読む。自発的に、たいていはじぶんの部屋で」―私たちが「読書」と名づけてきたこの行為はいつ頃生まれたのだろうか?そしてこれからも人は、本を読み続けるのだろうか?書き手・読み手・編集者として“読書の黄金時代”を駆け抜けてきた著者が、読書の過去・現在・未来を読みとく、渾身の一冊!
目次
1 日本人の読書小史(はじまりの読書;乱世日本のルネサンス;印刷革命と寺子屋;新しい時代へ)
2 読書の黄金時代(二十世紀読書のはじまり;われらの読書法;焼け跡からの再出発;活字ばなれ;“紙の本”と“電子の本”)
著者等紹介
津野海太郎[ツノカイタロウ]
1938年福岡生まれ。編集者・評論家。和光大学名誉教授。早稲田大学卒業後、劇団「黒テント」制作・演出、晶文社取締役、『季刊・本とコンピュータ』総合編集長、和光大学教授・図書館長などを歴任。著書に『滑稽な巨人 坪内逍遙の夢』(平凡社、新田次郎文学賞)、『ジェローム・ロビンスが死んだ』(平凡社、のちに小学館文庫、芸術選奨文部科学大臣賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
156
前半が、日本人がどのように本を読んできたかを平安時代にさかのぼって、明治時代までの様子が概観されます。結構面白い気がしましたがやや簡潔すぎる感じでもう少し詳しく知りたい気もしました。後半は読書の黄金時代ということで、20世紀から最近までの状況、活字離れや電子本などについて書かれています。円ポンブームと1960年代の全集ブームはなぜ起きたかということで面白いことをいわれています。大震災と戦争で家に本が無くなったので、このようなブームが起きたのであると。2016/11/08
さぜん
50
ほぼ生活の一部となっている読書。その行為の始まりとは?著者は平安中期「更科日記」で源氏物語を読み耽る少女の場面まで遡る。そこからの読書小史は出版の歴史も重なり興味深い。時を経て20世紀は読書の黄金時代。誰もが本を読んでいたのが活字ばなれが始まり読書習慣は消滅したかの如く現在に至る。常々こんな面白い習慣をなぜ皆手放すのかと不思議に思っていた。読書によって得るものは多く失うものは少ない。教育においても長い人生においても良い影響を与えてくれるのに。2021/01/31
壱萬弐仟縁
43
中国の教育では、他人を説得する<弁論力>ではなく、紙や竹簡にしるされた先行者の言動(先例)を、繰りかえし声にだして読み、そのすべてを頭に叩きこんで、必要なとき瞬時に思いだせるようにすること、<記憶力>がもっとも重視されることになる(20頁)。「共同的な読書」は、社会的な必要のためだけでなく、より積極的に、音読という行為が読み手と聞き手の双方にもたらす楽しみやよろこびによっても支えられていたらしい(98頁)。2017/10/24
ユウユウ
26
〈音読〉から〈黙読〉へ。〈かたい本〉から〈やわらかい本〉へ。〈おそ読み〉から〈早読み〉〈多読〉へ。〈紙の本〉から〈電子の本〉へ。著者が論じる日本人の読書の歴史。〈読書の黄金時代〉としての20世紀とその終焉。出版不況や活字離れ、読書習慣の平等化とその弊害など、元編集者の立場から見た〈読書〉。希望や憂いが様々に語られている。著者はGoogleブックスについては否定的だが、私は今まで使ったことがなく、初めて見てみて索引機能としては優秀なように思えた。2年前から状況が変わり、著者も認める形になっていることを願う。2019/09/18
ふろんた
25
日本における読書史。平安時代に始まり身分の高いごく一部の層のものであった読書が、印刷技術や識字率の向上により大衆化する。それにより読書とは古くは同じ本を繰り返し読んで教養を高めるものだったものが、多読することを指すようになった。また20世紀を黄金時代と位置づけている。2016/12/12