出版社内容情報
読みたい人にも、書きたい人にもおすすめ。読者をうならせるプロの表現テクニックを学んでみよう!
内容説明
プロの作家が生みだす名表現の数々。たったひと言で、意表をつく比喩で、見事な構成で、読み手を唸らせる。だが感動するばかりでは勿体ない。そこにはどんなテクニックがあるのか?夏目漱石や志賀直哉から現代の藤沢周平・村上春樹まで。読みたい人も書きたい人も、日本語の名案内人の導きで、その技を学んでみよう!
目次
第1章 この人この文―表現の奥の人影
第2章 たった一言の威力―思わず唸る名表現
第3章 風景、人、心、そして時間―描写の手法
第4章 イメージに語らせる―想像力をかきたてる比喩など
第5章 順序と反復のテクニック―流れに波を起こす
第6章 耳を揺する響き―音感に訴える
第7章 曖昧さの幅と奥行―わかりにくさのグラデーション
第8章 文章のふくらみ―余情と背景
第9章 開閉の妙―冒頭の仕掛けと結びの残像
第10章 文は人なり―文体を語る作家の肉声
著者等紹介
中村明[ナカムラアキラ]
1935年山形県鶴岡市生まれ。1964年早稲田大学大学院修了。現在、早稲田大学名誉教授。専攻、文体論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
146
中村先生が昔接したことのある作家やあるいは印象に残った文章を30ほど集めて、その作家や文章に関するエッセイのようなものに仕立て上げています。小林秀雄から武者小路実篤まで楽しめます。この先生のは名表現辞典や語感の辞典等がありそちらもわたしは楽しんでいます。2016/10/03
レモングラス
40
再読。「匂い立つ文章の文学的な味わいを満喫しながら、じっくりと表現をたどっているうちに、実はそれが、選ばれてそこに並んでいることばの玄妙なふるまいが醸し出す薫りであったことに気づくことがある」と「はじめに」にあり、一流作家30人の一文を掲げての解説、エッセイ。小林秀雄邸を訪ねての、こっぴどく叱られたエピソードから始まる。人柄や部屋の空気などを伝える工夫を試みたとあり「文字の背後に声があり、表現の底に人間が横たわっている、文章というもののそういう現実の姿を確認するためである」と書かれている。2020/08/06
neimu
34
小林秀雄・庄司薫・内田百閒・幸田文・志賀直哉・坪田譲治・尾崎一雄・吉行淳之介・小川洋子・坂口安吾・谷崎潤一郎・小沼丹・小津安二郎・芥川龍之介・石川淳・里見弴・梶井基次郎・円地文子・川端康成・村上春樹・太宰治・夏目漱石・辻邦生・庄野順三・井上ひさし・藤沢周平・大岡昇平・永井龍男・井伏鱒二・武者小路実篤の作品から引用、解説。10章に分かれているが、目次には作家・作品名はなく、帯だけに。ちょっと仕掛けてじらす本だ。小沼丹だけ知らなかった。誰のどの作品を選ぶかは、背景にある何を述べたいかで分類。一文の引用が秀逸。2020/04/21
ロア
26
日本の一流作家30人の作品から一文を抽出し、表現方法やテクニックを読み解いていきます。ぼんやりと字面を追っていたり流し読みしていたのでは、込められた作者の意図や繊細な表現に気付く事は出来ないんだよなぁ。小説の「技」の部分だけでなく、各作家の人となりを伺えるエピソードも所々に盛り込まれているので、堅苦しくなく読めます。2017/02/02
ひかりパパ
14
著名な作家の一文を取り上げじっくりと表現の楽しさを味わえる内容となっている。朝日新聞の別刷りに連載されていたコラムをまとめたもの。豊富な内容で作家の方々の表現力に学ぶこと多い。2016/11/07