内容説明
自然エネルギーの重要性は理解しても、「電気をどうする」という思考枠から抜け出せなければ、選択肢は狭まる。熱や移動など、生活に欠かせないエネルギーのベストミックスは、地域で異なるのが本来のあり方ではないか。森林、風力、水力などを上手に組み合わせ、地域に合った用途で、地域の人間が関わる、持続可能な胸躍る実践へ踏み出そう。
目次
はじめに―砕かれた「エネルギー地産地消」
1 エネルギー渉猟文明(石油と電気漬けの社会;迫り来る崖)
2 機能不全のエネルギー・システム(代替エネルギーの構想;ポスト3・11エネルギー論争;循環なきバイオマスの失敗;賢いエネルギー利用とは)
3 自然エネルギーを使いこなす社会へ(コミュニティエネルギー;主役は地域;ダウンサイジングとシェアの思想)
おわりに―プラグを抜く時
著者等紹介
小澤祥司[オザワショウジ]
1956年静岡県生まれ。東京大学農学部卒業。出版社勤務などを経て、取材・執筆活動のほか、環境学習、環境保全活動の支援、自然エネルギーの普及、持続可能な地域づくりなどのプロジェクトにも携わる。3.11以降、福島県飯舘村の放射能汚染調査、村民の支援活動にも取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
32
地域熱供給はガスや水道のように、配管を通じて温水を各家庭や事業所に配るシステム(7頁)。山上憶良の時代、遷都で宮廷や寺院造営が反復。木材は大和、近畿一円から調達(23頁)。シェールガスはメタン。フラッキングはジェル状液体で、企業秘密。健康被害も詳報が待たれるという(51頁)。デンマークは国民投票で原子力政策を拒否、オーストリアも完成した原発稼働を阻止した(123頁)諸国もある。日本はやる気がないのか? 数年単位でしか物を考えず、長期経営戦略を立てにくい日本の統治システムの悲劇(125頁)。2015/07/24
とうゆ
11
化石燃料はいずれ枯渇する。これは歴然たる事実である。そこで、自然エネルギーで発電するだけでなく、熱への利用も行うコジュネレーションシステムの推進し、地域個別型の送配電システムの構築を目指すべきである。また太陽光などの一次エネルギーをそのまま使い、暖房を使わない町作りなど、省エネも目指すべきである。以上のような主張がなされている。人類にとって非常に重要な提言であると思うが、自然エネルギーのポテンシャルを過大に見積もった資料の使用、ヨーロッパの国々と日本の地理的特性の違いの無考慮など疑問も残った2014/06/11
Francis
9
冒頭の飯舘村のバイオマスボイラーの話を読んで「里山資本主義」?かと思った。オーストリアの例を取り上げるなど、似た話が多く、「里山~」は金の面から、こちらはエネルギーの面から分析していると言えようか。3.11以降顕著になった自然エネルギーについての考察。ブームになっている太陽光発電など、発電ばかり取り上げられている観のある自然エネルギーを熱利用についても考えなければならないことや、どのような社会を作っていくかを30年以上の時間をかけるぐらいのつもりで考えていくべき、との主張もされている。2015/09/08
かるた
4
オール電化を勧める風潮の中、何となく嫌な予感しかなく1人でガス入れろ入れろお客様に提案してきたが、不安な原因が何だったのかこちらを読んで見えてきた。やはり何かを提案する時は、きちんとお勉強してからじゃないとダメですね…と反省。バイオガスの話は面白かった。2015/02/14
majiro
4
かけ足でしか読めなかったけれど、良書と思った。自然エネルギーの問題点も含め、たんたんと書いてあったところが良かった。人工林に関する記述が興味深かった。図書館で借りたけど、ベースの知識として、買ってよく読もうかな。2013/12/01