岩波新書<br> 柳宗悦―「複合の美」の思想

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岩波新書
柳宗悦―「複合の美」の思想

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  • サイズ 新書判/ページ数 256p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004314356
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0210

内容説明

民芸運動の創始者として知られる柳宗悦(一八八九~一九六一)。その生涯は、政治経済的弱者やマイノリティに対する温かい眼差しで一貫している。それはどのような考えからきたのだろうか。「世界は単色ではありえない」という確信に由来するのではないか。文化の多様性と互いの学び、非暴力を重視し続けた平和思想家としての柳を浮彫りにする。

目次

序章 いまなぜ柳思想に目を向けるのか
第1章 生涯の素描
第2章 相互扶助思想の受容と民芸の位置
第3章 朝鮮への想い
第4章 独自の平和思想の形成
第5章 「周辺」文化へのまなざし
第6章 開かれた宗教観
終章 柳思想の何を継承するのか

著者等紹介

中見真理[ナカミマリ]
1949年東京生まれ。一橋大学大学院法学研究科博士課程(外交史・国際関係論)単位取得退学。現在、清泉女子大学文学部教授。専攻、国際関係思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネムル

18
柳宗悦を民芸おじさんとしか認識していなかったので、その多彩な活動を概観出来たのはよかった。朝鮮・沖縄・アイヌらの周辺文化への眼差しと平和思想に、いま学びうるという著者の主張には同意する。白樺派のようなお坊ちゃんよりも活動の人として惹かれはする。が、いまでは柳は民芸の人としか顧みられないことに、著者が十分に応えているかは疑問が残る。2020/05/31

nbhd

13
一読して、柳さんの思想はミスターチルドレンのそれによく似ていると思った。GIFTという曲がある。柳さんは”「白か黒で答えろ」という難題を突き付けられ”た時代にあって、民芸品や朝鮮半島、沖縄などの『周縁』に注目して、みずから”白と黒のその間に無限の色が広がってる”といった「複合の美」の思想を確立した、なかなか偉い人だ。その功績を紹介した本としては良いのだけど、ちょっとアレなのは、著者の柳思想の賞揚に”おりこうさん”すぎるところがあって、そのへんはいくらか「単色的だなぁ」という印象を持った。ミスチルは好き。2016/09/04

弥勒

13
私は最近になつてだが、柳宗悦といふ人物について知りたいと思ふやうになつた。それは、丸谷才一氏の「文章読本」で彼の文が名文として紹介されてゐたのだが、そこで紹介されてゐた文章に表れる彼の思想に惹かれたからだ。そこで、まず「南無阿弥陀」を読もうと思つたのだが、ふとこの本が目にとまり買つてしまつたのだ。一言で言へば柳宗悦の思想を「複合の美」をもつて説明した本だつた。しかし、どうも無理やり彼の思想を「複合の美」に収斂させてしまつたやうであまり面白いとは思へなかつた。2016/07/14

壱萬弐仟縁

12
鶴見俊輔氏の本で拝見した、柳宗悦。弱者の自己主張(2頁)。ノーマライゼーション、バリアフリーであれば色々な意見が出てきていいが、昨今の秘密保護法案でそれも怪しくなってきたのは困ったことである。強者が弱者に配慮した社会を構築することを提案(5頁)されるのも自然なことに思われる。柳は、異質を認め合い、豊かになる道を選んだ(6頁)。トルストイやガンディーからよく学んだというのも共感できる(29-30頁)。モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動(34頁)。クロポトキン相互扶助思想(42頁~)。日本文化と民芸の関係。2013/10/04

lamontagne

7
柳という人の全体像を把握する上でためになるけれど、いまいち深みに欠ける本。▼著者は「複合の美」、言い換えれば「多様性」を軸に柳の思想や実践を読み解き、現代社会に対する教訓を引き出そうとしている。だが、共生などそう簡単にできないことを考えれば、著者が析出した柳の思想は非常に空々しい。▼むしろ、京都にギルドを作ろうとして失敗したことや、戦時中に体制に加担しかけたことなど、彼の行動の限界について丹念に分析した方が、より実りある学びが得られるのではないか? 彼を手放しに賛美するだけでは何も得られない気がする。2021/06/01

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